CONCEPT
セカンドハウスと研修施設を兼ねた計画で、瀬戸内海に面した小さな半島の突起部分に建てられた。当初は建物が海にせり出すようなプランも検討したが、工事の際に海岸を汚さないようにとの配慮から、海岸線ギリギリに収めることとした。環境のことを考え、半島の先端側には基礎をつくらず、手前に大きなブロックを築いて重心とし、そこから糸を張るように建物の先端部分を吊る「テンション構造」を採用。四角い箱を積み重ねたような独特のフォルムと構造の強度とを両立させている。「周囲の豊かな自然をダイナミックに感じながら、気持ちよく研修を受けられるよう、空間はできるだけシンプルに」との要望に応え、1階のリビングやエントランスホールといったパブリックスペースは壁をコンクリートで統一。外部とのつながりが感じられ、研修施設らしいほど良い緊張感も保たれている。テンション構造を用いているため、リビングの柱は細い円柱1本のみ。大自然のパノラマに包まれているような気分を味わいながら、研修時は清々しく、週末はのびのびと過ごすことができる。