地域に根付く医院

内科、内視鏡、肛門科のクリニックと婦人科、美容皮膚科クリニックがあり、同じ院内に2つのクリニックを持つプラン。外観はファサードに緩やかなアールを描く鉄筋コンクリート造ならではの造形美とし、地域に寄り添い包み込むような包容力のあるデザインに。当初は温かみのあるベージュの外観を想定していたが、完成時はクリニックらしい清潔感のある白が採用された。

中央にエントランスがあり、アプローチの両サイドには患者用の自転車置き場を配置した。屋外の冷気や熱気の流入を妨げ、屋内の室温を保ったり、埃、排気ガス、虫対策として設置される風除室をデザインのポイントにした。内科と婦人科を併設するクリニックのため、受付の右手は内科、婦人科は待合の左手にレイアウトし、エントランスで受付を分離。それぞれの患者様が対面することのない動線とした。

それぞれの受付のイメージを変え、内科はシックなダークカラーのモダンなインテリアとしたが、道路面に面した大きな開口から自然光が差し込む開放感があり、洗練されたデザインと心地良い空間を叶えた。

婦人科は白を基調にやわらかい印象に仕上げ、建物内部にレイアウトすることでプライバシーを確保した。中庭を設けることで閉塞感を払拭し、スリット状の開口が程よいリズムを生むデザイン。婦人科のエリアには内科に通う男性患者の動線がかぶらないように注意し、トイレも女性用のみとした。その奥にスタッフルームを確保して、スタッフ専用のトイレと更衣室を完備。スタッフルームから内科エリアへの裏動線も確保してあり、動線にも配慮している。