旧家にとけこむモダンの世界

「セキュリティーを重視したい」との要望から道路面の1階には侵入できる開口部をつくらず、エントランスにつながるアプローチはガラスの塀とすることで、足場となりうる塀の厚さを無くした。ガラスは強化ガラスのため割って入ることも難しく、繊細なガラスの印象とは裏腹な堅牢なつくり。また、高さのある塀でも採光が保たれるため閉塞感も抑えられる。CGからも、透明感のあるガラスの塀に守れた住まいであることがわかる。

リビングダイニングのCG。階段の天井に設けたトップライトで光を取り込み、階段は段板のみとすることで、トップライトから注ぐ光が、段板の間をすり抜けて下階まで自然光を届ける。ダウンライトの配置、テレビボードのデザインに、奥のダイニングのレイアウトもCGと同様の完成度となった。

無駄をそぎ落としたミニマルなデザインが旧家の庭の景色を引き立たせた。開口部の直線、エッジを効かせた美しい建築が庭の景色や光と重なることで、自然の豊かさがより際立つ仕上がりとした。CGは夜のシーンをを描き、庭のライトアップの様子がわかる。全面開口から庭の景色を額縁のように切り取った。

ダイニングキッチンからテラスを見たCGは、ほぼ完成時と変わらない出来栄え。奥に見えるテラスの細部まで再現され、杉板を転写したコンクリートの打ち放しの塀とラインで入るモザイクタイル。水盤に水が落ちる雰囲気までも緻密に描かれた。