芙蓉峰に寄り添う瑞雲

オーナーがひと目惚れした富士山を望む立地。恵まれたロケーションや自然環境をどれだけ生かせるかをテーマに、ほぼすべての生活スペースを2階に上げ、富士山をとらえる大開口が浮遊感のある設計を叶えた。外観は屋根のスカイラインをシャープな片流れにしたかったが、法規等条件面で難しかったため、軒裏の傾斜を変えるなどして工夫。表からは三角形の片流れに見える屋根を設計した。

三日月型の水盤に映る逆さ富士を眺めながら石の列柱が並ぶ小道を進み、トンネル状のポーチをくぐると、ガレージに停車する愛車が出迎えるエントランスにたどり着く。アプローチからエントランスの道のりもドラマチックに演出し、ゲストをもてなす。

検討段階のリビングのCG。
開口から富士山がどう見えるかをくり返し計算し、リビング、寝室、バスルームから異なる角度の富士山をとらえた。また、大開口からリビングに燦々と入る日の光は時間によってその移ろいを感じられるようシミｭレーションを重ね、陰影がよりシャープになるラインにこだわっている。

ほぼ完成時を再現したCG。
フローリングの貼り方だけでも印象が変わるのがわかる。奥行きを意識した縦方向の伸びを強調する張り方とし、ダイニングキッチンのポイントウォールは黒から白に変更された。

開口のどの位置から富士山が見えるのかを計算し、ベッドルームのCGにも描かれた。2層吹き抜けの天井は、ベッド部分のみを低くすることで安心感と開放感を両立させている。サッシが木製からステンレスに変更された以外は、完成時と変わらない仕上がりとなった。