2025.11.18

高級注文住宅

Earnest architects

高級住宅の新しいスタンダードとして注目を集めているのが、「地下室」を備えた邸宅です。限られた土地を最大限に活用しながら、プライベートシアターやワインセラー、趣味のための特別な空間を設けることで、住まいの価値を一層高めることができます。さらに、地下ならではの静音性や断熱性により、快適で上質な住環境を実現できる点も魅力です。

本記事では、地下室を設けた高級邸宅の魅力や特徴、設計のポイント、そしてアーネストアーキテクツが手掛けた実例を交えながら、理想の住まいづくりに役立つ情報をご紹介します。

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地下室の種類

地下室といっても、設計方法や構造の違いによっていくつかのタイプがあります。地盤の高さや採光の取り方、利用目的に応じて適切な形式を選ぶことで、快適な空間を実現可能です。ここからは、高級住宅で採用されることの多い代表的な3つの地下室のタイプをご紹介します。

全地下タイプ

全地下タイプとは、空間全体が地中に埋まっている構造の地下室です。外部からの視線が完全に遮るため、プライバシー性が高く、静けさに包まれた特別な空間をつくることができます。壁に囲まれた構造は防音性・遮音性にも優れており、シアタールームや音楽室など趣味の空間に最適です。

半地下タイプ

半地下タイプは、部屋の一部が地盤面よりも下にあり、一部が地上に出ている構造です。傾斜や段差のある土地を生かしながら設計されるケースも多く、全地下に比べて光や風を取り込みやすいのが特長です。
また地面を深く掘る必要がないため、工事のコストを抑えられるという利点もあります。地上部分の壁に窓を設けることで、自然光が差し込む心地良い空間を演出可能です。地下の静けさと地上の開放感、その両方を享受できる構造といえます。

高低差タイプ

高低差タイプは、敷地に生じる段差を利用して設計される地下室です。道路や隣地とのレベル差を活かすことで、採光や通気を確保しながら地階を設けられます。全地下ほどの閉鎖感がなく、自然と調和した快適な空間を実現できるのが特長です。地形を巧みに取り入れた設計は、高級住宅ならではの個性を生み出します。


どのタイプの地下室でも快適に過ごすためには、採光と換気の工夫が欠かせません。代表的な方法のひとつが「ドライエリア」です。 ドライエリアとは、地下室の外側に設ける半屋外の空間(光庭)で、地面を掘り下げて外部に面した壁面に窓を設けることで、自然光と通風を確保します。コンクリートの壁で囲まれているため雨水の侵入を防ぎながらも、外気や光を取り込むことができ、地下とは思えない開放的な空間を演出します。 
さらに、上部から光を取り込む「トップライト(天窓)」を併用すれば、時間帯によって変化する柔らかな光が差し込み、居心地の良い地下空間を実現できます。こうした採光や換気の工夫が、地下室を閉ざされた空間ではなく、“豊かな暮らしを支える特別な空間”へ昇華させます



高級住宅に地下室を設けるメリット

地下室を備えた邸宅は、暮らしの快適性を高めるだけではなく、設計上の自由度を大きく広げます。ここからは高級住宅に地下室を設けることで得られる主なメリットを4つの視点からご紹介します。

土地を広く活用できる

住宅を建てる際には、土地の面積に対して建築可能な面積が「建ぺい率」と「容積率」によって定められています。しかし、地下室には容積率不算入措置が適用され、一定の条件を満たせば延べ面積の3分の1までは容積率の対象外とすることが可能です(※)。
この制度を活用することで、地上階にゆとりを持たせながら地下に機能的な空間を確保できます。特に都心部など、敷地が限られるエリアでは有効な手段といえるでしょう。

<適用条件の一例>
●地下部分が地階(地下階)であること
●地盤面から天井までの高さが1m以下であること
●住宅の用途として使用されていること

これらを満たせば、居住空間・収納スペース・趣味の部屋などを設けても容積率に影響しません。なお、延床面積の3分の1を超える部分は算入対象となるため、設計時には慎重な計画が必要です。

※参考:国土交通省.「建築基準法の一部を改正する法律等の施行について」.https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/104/81000238/81000238.html ,(1994-06-29).

冬は暖かく夏は涼しい

地下室は地中に囲まれた構造のため外気の影響を受けにくく、年間を通して温度変化が小さい環境を保てます。そのため「冬は暖かく夏は涼しい」という自然な断熱効果を期待できます。また温度変化に弱い食品などの保存にも適しており、災害時の備蓄スペースとしても重宝します。エアコンの稼働を抑えられるため、省エネルギー性にも優れた空間です。
特に、近年の温暖化によって猛暑日が増える中、地下室は安定した温度環境を確保できる有効な住空間として注目され、快適性を活かした多目的な利用が可能な空間として注目されています。

防音性・遮音性が高い

地下室は地中に囲まれた構造のため、外部からの音を遮断し、室内の音も外に漏れにくいという特性を持ちます。上階や隣家への音の影響を気にせず過ごせるため、ホームシアターや音楽スタジオなどの防音空間として最適です。地中の厚い壁と構造体が自然の防音材となり、静寂に包まれた上質な時間を楽しむことができます。
また在宅勤務などで周囲の生活音を遮断したい場合にも適しており、集中力を維持できる理想的な空間です。

地震に強い堅固な構造

地下室は、一般的に鉄筋コンクリート造(RC造)で設計されます。鉄筋とコンクリートを一体化した構造は、強度と耐久性に優れ、地震の揺れにも強い堅固な空間を実現します。地中に埋め込まれた構造体は建物全体の重心を低く保つため、地震のエネルギーを受け流しやすいのも特徴です。高い耐震性と安心感を備えた地下室は、災害時にも心強い存在といえます。



高級住宅に地下室を設ける際のデメリット

地下室には多くの魅力がありますが、快適に活用するためには設計上の注意点も理解しておくことが大切です。ここでは、高級住宅に地下室を設ける際に考慮すべき主なデメリットを3つの点から解説します。

湿度が高くなりやすい

地下室は地中に埋まる構造のため、外気温や地中の水分の影響で湿気や結露が発生しやすくなります。換気が不十分だとカビや建材の劣化、空気の不快感につながることもあります。特に夏場は外気温との差によって結露が発生しやすくなるため、湿度管理が欠かせません。
快適な環境を維持するためには、以下のような工夫が効果的です。

除湿器を設置して湿度を一定に保つ
壁や床に断熱材を使用し、湿気の侵入を防ぐ
ドライエリアを設けて自然換気を促す

これらの対策を講じることで、地下室特有の湿度トラブルを可能な限り抑え、快適な居住空間を維持できます。

浸水対策が必要

地下室は豪雨や地下水の影響を受けやすく、浸水リスクを考慮した設計が欠かせません。排水設備の配置や床・壁の防水処理、雨水対策などを計画的に行うことで、安全で安心な空間を維持できます。
そのため、万が一の場合に備えて、以下のような設備を設置することが大切です。

排水ポンプ・水抜き設備
外周防水・止水板の設置
床スラブ・立上りの高さ設定
排水口の定期的な点検
雨水浸入リスクを減らす屋外設計

地下室では浸水リスクに備え、外周壁や床に二重防水や止水板を施すほか、排水ポンプや床下排水路を設置して雨水や地下水を効率よく排出します。窓や採光用ドライエリアも傾斜や排水路で水の滞留を防ぎ、床面や立上りの高さを工夫することで水の影響を最小化。また建物周囲の地盤を傾斜させ、屋外排水管や側溝と連動させる設計により、安全で快適な地下空間を確保します。

建築コストが高い

地下室は、鉄筋コンクリート造で地中にしっかりと構造体を設ける必要があるため、建設コストが高くなる傾向があります。地盤の強度や地下水位に応じて補強や防水工事が必要になることもあり、土地条件によっては費用がさらに増加します。
また、掘削や土留め工事、設備配管の設置など、地上部分にはない工事工程が加わることで、全体の工期や資材費も影響を受けます。
高級住宅においては、快適性や耐久性を確保するための必須コストといえます。



地下室の活用法

地下室は居住空間の他に、趣味やリラクゼーションの場として多目的な空間としても活用できます。防音性・遮音性・安定した温度など、地下室ならではの特性を生かすことで、上質でプライベートな時間を堪能できる空間になります。ここからは地下室の活用法について詳しくご紹介します。

シアタールーム

地下室の防音性・遮音性を最大限に活かしたシアタールームは、周囲に音を気にせず映画や音楽を楽しめる特別な空間です。
厚いコンクリート壁が外部騒音を遮断し、内部音も漏れにくいため、プライベートな上映環境を確保できます。暗室化しやすい構造を利用してプロジェクターや音響設備を設置することで、映画館さながらの迫力ある映像と音響を体験できます。快適な座席や照明の工夫を加えることで、家族やゲストと過ごす上質な時間を演出できます。

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ワインセラー

地下室は年間を通じて温度と湿度が安定しており、ワインの熟成に最適な環境を自然に保てます。鉄筋コンクリート造の構造は外気温の影響を受けにくく、温度変化が少ないため、高級ワインの保存にも適しています。
特にウォークインタイプのワインセラーは、広々とした空間でコレクションを管理でき、ラベルを確認しながら直接ワインを取り出すことが可能です。

書斎

静けさに包まれた地下室は、読書や執筆の時間を楽しむ書斎としても適しています。外部の音が届きにくく、安定した温度環境により長時間の集中作業も快適に行えます。
インターネット環境や照明計画を整えると、在宅ワークにも活用できる多機能な空間となります。また、ドライエリアやトップライトを取り入れることで、自然光を確保し閉塞感を抑え、地下室でありながら心地よく過ごせる環境を作ることが可能です。
自分のペースで思考を深めて創造的な時間を過ごす場所として、地下室の書斎は格別の価値をもたらします。

トレーニングルーム

地下室の防音性と振動に強い構造は、家族やゲストを気にせずトレーニングできる環境を整えられます。また、壁や床の耐荷重設計を施せば、マシンやフリーウェイトの使用も安心です。
健康維持やリフレッシュの場として、地下室にトレーニングルームを設けるのも選択肢の一つです。
照明や鏡、収納棚を工夫すれば、デザイン性も兼ね備えた上質なジム空間となり、健康管理と趣味を兼ねた特別な地下室の活用法になります。

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地下室を設ける際に押さえておきたいポイント

地下室は高級住宅ならではの特別な空間である一方、地上階とは異なる構造的・環境的な配慮が必要です。ここでは、地下室を設ける際に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

土地の条件を確認する

土地の条件によっては、地下室を設置できないケースがあります。まずは、その土地が地下を掘削できる環境にあるかを確認することが大切です。
特に以下の点を事前にチェックしておきましょう。

地下を掘っても問題がないか(隣地境界・下水道管の位置など)
地下水位が高過ぎないか(床面が地下水面より下ではないか)
水害や浸水のリスクがある土地ではないか
地盤が軟弱でないか

これらを把握しておくことで、施工後のトラブルや構造上のリスクを回避できます。地盤調査を行い、地下室に適した土地かどうかを慎重に見極めることが快適で安全な住まいづくりの第一歩です。

設備を充実させる

地下室は地上階に比べて湿度や温度が一定に保たれやすい反面、環境を整える工夫を怠ると不快な空間になってしまうこともあります。そのため、空調・換気・除湿といった設備を充実させ、常に新鮮な空気が循環する設計を心がけましょう。
また照明計画も重要なポイントです。照度や色温度を自由に調整できる照明を導入することで、時間帯や用途に応じて快適な雰囲気を演出できます。適切な設備環境を整えると、地下室をより快適で長く愛用できる空間へと導けます。

地下室の実績が豊富な設計事務所に依頼する

地下室の設計・施工には、地上階とは異なる専門的な知識と高度な技術が求められます。湿度管理や排水設備、防水処理など、細部の設計が品質や快適性を左右するため、地下室の実績が豊富な設計事務所へ依頼することが重要です。
また、プール付きの地下室など事例を手掛けた実績のある事務所であれば、より安心して相談できます。湿度や温度管理が難しい地下空間で快適性を維持するには、確かな設計力と経験が欠かせません

建築設計事務所のアーネストアーキテクツは高級住宅を数多く手掛けており、地下室を含めたトータルデザインのご提案が可能です。ご自宅に地下室を設けたい方は、事例をご覧いただき、理想の地下空間づくりの参考になさってください。

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アーネストアーキテクツが手掛けた地下室の施工事例

建築設計事務所のアーネストアーキテクツでは、地下室を単なる付加空間としてではなく、暮らしを豊かに広げる上質な体験の場として設計しています。ここでは、アーネストアーキテクツが手掛けた地下室の施工事例を3つご紹介します。

グレーの濃淡 

都内の高級住宅地に建つ本邸は、限られた敷地条件の中で縦方向を最大限に活用した設計です。
地下は2層構成となっており、オーナーの趣味を反映したプレイルームと、天井高約4.5メートルのバスケットコートを備えています。防音性や広がりを生かした地下空間は、都心にいることを忘れさせる非日常のひとときを演出。地上階には、吹き抜けのエントランスや庭園を望むゲストルームを配置し、各フロアが異なるテーマで構成されています。地下室の存在が、暮らしにゆとりと深みをもたらします。

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コンサートホールのある住まい

音楽家である奥様のご希望を叶え、日常の中に特別な時間を感じられる住まいを実現しました。
地下1階には本格的なコンサートホールを設け、曲線を描く階段を下りた先に広がる空間は、非日常の高揚感を演出します。両サイドに設けたドライエリアからは自然光が差し込み、地下でありながら明るく開放的です。地上階の吹き抜けリビングは、オーディオの音が家全体に心地よく響く設計。日中は演奏の場として、夜はスクリーンを下ろしてシアタールームとしても楽しめる、音と光に包まれた上質な住まいです。

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URBAN RESORT HOUSE

都内の密集地にありながら、外からの視線を遮り、静かなオアシスのような住まいを実現しています。
1階のリビングダイニングは天井高5.6mの吹き抜けで、南洋風の庭に向かって開かれた開放的な空間。一方地階は黒を基調としたインテリアは上階の明るさと対比し、落ち着きと高級感を演出しています。ホームバーを備えたシアタールームや、プールと隣接したトレーニングルームを配置し、非日常を日常に取り込む贅沢な空間といたしました。

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地下室を設けて暮らしの可能性を広げよう

地下室を設けることで、住まいは単なる生活の場から、感性を豊かに育む空間へと変化します。静謐な書斎や臨場感あふれるシアタールーム、温度管理の行き届いたワインセラーなど、地下室は暮らしの可能性を大きく広げる空間です。
地下室は、限られた敷地を有効に活用しながら、静寂やプライバシーを確保できる特別な空間です。シアタールームやワインセラー、トレーニングルームなど、趣味やライフスタイルを反映させた贅沢な地下空間は、暮らしの可能性を大きく広げる存在です。
光や音、素材の設計を工夫すれば、地下とは思えない快適で上質な住環境を実現できます。

アーネストアーキテクツでは、建築の美しさと機能性を融合させ、お客様のライフスタイルに合わせた地下空間をご提案します。豊富な経験と高度な設計技術をもとに、地下室を含めたトータルな邸宅を設計させていただきますので、お気軽にご相談ください。
カタログのご請求や建築のご相談、ショールームのご見学も随時承っております。

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