2015.6.28

別荘

Earnest architects

別荘建築:「水」Part4

今回の別荘建築は、テレビのロケ地として使用され、一躍有名になった作品をご紹介いたします。
フジテレビ系列の「COOL TV」枠内で放送されていたリアリティバラエティ番組「テラスハウス」の2013年10月 ~ 2014年9月の放映で使用された、海岸近くの高台に建つ物件です

海を臨む「水」の別荘建築を計画した際に重要になるのは、土地の最大の魅力である眺望をいかに効果的に取り込むかに尽きると思います。海岸線に対してフラットに開口を設ける設計が一般的ですが、こちらの作品は、土地のロケーションを最大限に活かし、海に迫り出すように設けたV字の大開口が180度のパノラマを実現しています。リビングに設けた階段からの景色は、まるで海に浮いているかのような視覚的効果を生みだしています。
海側のみをV字に開き、他は壁で囲むことで周囲の住環境の気配を完全にシャットアウトし、囲んだ壁は潮風や砂から住まいを守る役割も果たしています。
リビングの開口の向こうには水盤を設け、リゾート感を演出。水盤のブルーの先に広がる海と青い空。鮮やかな青い色を引き立たせるために、室内のベースは白を選択いたしました。水盤の水の揺らぎに光が反射し、リビングの白い壁や天井に美しいリフレクションを映し出します。

リビングから見える景色は、海と空のみ。

キッチンはアイランド型とし、洗い物や調理をしている時でも視線を上げれば海が望め、コンロに向かっている時も、テラスと繋がる開口から空や海を感じることができます。日常的な食事の準備も見える景色によって、いつもとは違う感覚を味わうことが可能です。
また、別荘の楽しみのひとつでもあるバスタイムは、雄大な海の眺めが愉しめるように2面がカラス張りの大開口とし、露天風呂のような感覚で空と海を思う存分満喫できます。

キッチンを含め、シンプルですっきりとしたインテリア。
バルコニーと隣接したバスルームからの眺め。

太い柱をはじめとする躯体も白で統一することで、躯体美を強調。開放的な空間であっても、強堅な躯体を強調することで、守られているかのような安心感を与えてくれます。
「空と海にのみ向かって開かれた景色を眺めていると、ここが日本なのかもわからなくなってしまう非現実感が気に入っています。」と語るオーナー。家の中のどこにいても、空と海を感じられる贅沢な作品に仕上がりました。