高級住宅の間取りで後悔しない!設計のコツと実例から学ぶ理想の空間づくり
2025.7.22
注文住宅の間取り
Earnest architects

高級住宅の間取りには、一般的な住宅とは異なる要素への配慮が必要です。
また、間取りは居住者の価値観や美意識、ライフスタイルによって大きく異なります。優れた設備や上質な素材、大胆なデザインを採り入れるのはもちろん、適切な間取りによって、快適で豊かな暮らしが実現します。
本記事では、高級住宅の間取りを設計する際に欠かせない3つの要素や、押さえておきたいポイント、失敗しないコツなどをご紹介します。
目次
高級住宅の設計に欠かせない3つの要素

高級住宅では、素材や設備、間取りなど、全ての要素が調和していることが求められます。ここでは、高級住宅の設計に欠かせない3つの要素について詳しく見ていきましょう。
間取り
間取りは家全体の「骨格」といえる存在であり、心地よい暮らしと美しい空間づくりにおいて極めて重要な要素です。開放感はもちろん、生活動線、採光・通風など、複合的な視点で適切な設計が求められます。
また、家族のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる間取りにすることで、長く快適に暮らせる住まいとなります。
高級住宅が一般的な住宅と異なる点として、吹き抜けを多用した間取りが挙げられます。吹き抜けは開放感やデザイン性に優れる一方で、冷暖房効率の低下や音の反響・音漏れといった課題にも配慮が必要です。
さらに、高級住宅にお住まいの方は来客が多いケースもあるため、ゲストと生活動線が交差しないような間取りの工夫も求められます。パブリックゾーンとプライベートゾーンを分ける設計が大切です。
設備
キッチンやバスルーム、空調、照明などの住宅設備は、暮らしの快適性に大きな影響を与えます。高級住宅においては、そうした基本設備に加え、空間の特性や用途に応じた高度な設備計画が不可欠です。
例えば、吹き抜けのある大空間の間取りには、効率的な温度管理を実現するための空調方式の検討やゾーン空調、床暖房などの導入が有効です。地下室や室内プールには、湿度や温度を最適に保ちつつ、空気の循環を確保するための調湿換気設備が必要です。
さらに、スマートホームシステムなど、最新のテクノロジーを活用した設備を取り入れることで、上質でストレスのない暮らしが可能になります。一方で、これらの設備が空間デザインの妨げとならないよう、存在感を抑えた設置や意匠との調和にも十分な配慮する必要があります。
素材
高級住宅の間取りを設計する上でも重要なのが素材による上質感です。外観・内装ともに、使われる素材やデザイン性によって印象は大きく変わります。
例えば、大理石や御影石などの天然石は、自然が生み出す唯一無二の模様と、圧倒的な存在感を空間にもたらします。近年では技術の進化により、天然石を忠実に再現した高精度なタイルも登場しており、経年変化しにくく、床暖房との相性も良いなど、優れた機能性と耐久性を備えています。これらの天然石やタイルは重量があるため、積載荷重など構造面での配慮も必要です。
また、高級住宅の間取りは、ガラスを多用した開放感のある空間構成も特徴のひとつです。仕切り壁やドアにガラスを取り入れることで、視線が抜ける開口感や空間のつながりを与えます。採光性にも優れ、フロストガラス(すりガラス)などを用いれば、プライバシーを確保しつつ柔らかな光だけを室内に取り込むことができ、外壁面や水回りにも応用されています。
高級住宅の間取り設計で押さえたいポイント

一般住宅とは異なる空間構成を求められる高級住宅の間取りには、建築設計の知識に加えて、ライフスタイルや将来の暮らしを見据えた幅広い視点が欠かせません。
ここからは、高級住宅で間取りを設計する上で押さえておきたいポイントを解説します。
高級感と実用性の両立
高級住宅の間取りでは、「上質さ」や「美しさ」と同時に「心地よさ」や「暮らしやすさ」を兼ね備えた空間が求められます。以下の点も意識した設計が大切です。
●家事動線の回遊性
●ライフスタイルに沿った生活動線
●収納力や収納位置
例えば、下着の収納ひとつをとっても寝室のクローゼットにしまうのか、脱衣室に設けるのかによって、家事動線は大きく変わります。ライフスタイルは人それぞれ異なるため、それに即した動線設計や収納計画を行わなければ、快適な住まいは実現できません。
近年では、高級住宅において「見せる収納」が人気を集めています。ガラス扉やライン照明を取り入れた、まるでブティックのような洗練された空間は、単なる収納を超えて、住まいの美意識を表現する要素としても注目されています。
敷地条件と周辺環境に適応
高級住宅を設計する際には敷地の個性を生かすことも大切です。土地の形状や傾斜、方位、さらには近隣住宅との距離感やプライバシーへの配慮などが、間取りに影響を与えます。
例えば、人通りの多い道路に面した敷地では、プライバシーを確保しながら採光を取り入れる工夫が求められます。熱反射ガラスを採用したカーテンウォール、天窓や高窓を設けることで、自然光がやわらかく差し込む心地よい空間を演出できます。一方で、高台や傾斜地では、眺望そのものが住まいの価値を高める要素となります。リビングや寝室などから街並みや夜景を一望できる間取りがおすすめです。
セキュリティの必要性
プライバシーの確保と安心して暮らせる安全性は、高級住宅を建てるに当たり非常に重要な要素です。間取りを検討する段階から、どのようなセキュリティ対策を採り入れるかを具体的に考えておく必要があります。
敷地の入口から玄関、さらに各フロアや寝室へのアクセス経路を明確にし、外部からの侵入リスクを抑える動線設計を行いましょう。また、防犯カメラの設置箇所や、門扉・シャッターの配置にも配慮すると住まい全体の防犯性が向上します。
万が一の侵入者や災害発生時に、居住者の安全を確保するために設けられるパニックルーム(セーフルーム)もおすすめです。外部からの侵入を防ぐ堅牢な壁や扉、通信設備を備えることで外部との連絡を維持しながら、一定時間安全に避難することができます。
ライフスタイルの変化に対応
優れたデザイン性や機能性の他に、長く快適に暮らせることも、高級住宅で押さえておきたいポイントの一つです。そのためには、家族構成の変化や将来的な生活スタイルにも対応できる「柔軟性のある間取り」を設計することが大切です。
例えば、廊下の幅や段差の処理といったバリアフリー設計を前提とした工夫や、将来的に分割可能な大空間の確保などがポイントになります。あらかじめ間取りの可変性を想定しておくと、ライフステージの変化にも柔軟に対応できます。また、建物の構造によってリフォームによる間取り変更の自由度に違いがある点にも注意が必要です。柱と梁で支えるラーメン構造は自由度が高い一方で、壁で建物を支える壁式構造では、間仕切りの変更に制約が生じることがあります。理想の住まいを実現するためにも、構造の特性を踏まえた上で計画を進めることが大切です。
【空間別】高級住宅の間取り設計のポイント・注意点
高級住宅を設計する際は、空間ごとに意識すべきポイントが異なります。リビングやキッチン、寝室、水まわり、庭など、それぞれの役割や暮らし方に合わせて設計することで、快適性と美しさを両立した住まいの実現が可能です。ここからは、空間別に高級住宅の間取り設計のポイント・注意点をご紹介します。
リビング

リビングは、家族がくつろぐ住まいの中心的な空間です。開放感を演出するために吹き抜けや大開口を採用するケースも多く見受けられますが、その際には断熱性や気密性が低下しないよう、建材やサッシの性能に十分な配慮が必要です。
中庭やテラスといった外部空間とシームレスにつなげる設計も、高級住宅ならではの間取りのひとつです。内と外の素材感や視線の抜け、床のレベルなど、空間全体の一体感を意識した設計が求められます。
また、来客を意識した「フォーマルリビング」と、家族だけで過ごす「ファミリーリビング」とを分ける二つのリビング構成も、高級住宅で採用される間取りの一例です。来客の頻度や生活スタイルに合わせて、検討しましょう。
キッチン

高級住宅のキッチンには、機能性やデザイン性はもちろんのこと、家族とのコミュニケーションの場としての役割も求められます。アイランド型やオープンキッチンを採用することで、リビングやダイニングとの一体感が生まれ、空間全体に開放的で洗練された印象を与えます。
キッチンカウンターとダイニングテーブルをひと続きにしたレイアウトや、キッチン横にお子さまの学習スペースを設けるプランも人気です。料理をしながら会話が弾む、家族の気配を感じられる場所として、キッチンが暮らしの中心となるよう設計されているケースもあります。また、キッチンの美しさを保つためには、パントリーの設置が非常に有効です。ストック品や使用頻度の低い電化製品などを見せずに収納することで、空間に生活感を出さず、常に整った印象を維持できます。
寝室

寝室は日々の疲れを癒す心身をリセットするための最もプライベートな空間です。そのため、寝室の間取りは静けさと安心感が重視されます。周囲の生活音や外部の光が届きにくい設計が求められます。
また、高級住宅では主寝室にウォークインクローゼットや専用のバスルームを併設し、まるでホテルのスイートルームで過ごしているかのような、ホテルライクな間取りも好まれます。必要な収納量や動線計画を十分検討することで、上質なリラックス空間を実現できます。
バスルーム

バスルームは単なる入浴スペースではなく、一日の疲れを癒すリラクゼーション空間としての役割が求められます。中庭を望む開放的な浴室や、レインシャワー、ジェットバスなど導入により、快適性と非日常感を演出できます。ただし、外部からの視線や湿気・結露への対策、十分な換気計画が不可欠です。
また、近年のサウナブームを受けて、本格的なサウナ体験を取り入れるケースが増えています。ロウリュが楽しめるドライサウナや、美容効果に優れたスチームサウナ、水風呂を組み合わせ、スパのような贅沢なひとときを自宅にいながら楽しめます。
庭・テラス・バルコニー

庭は単なる景観だけではなく、屋外空間を楽しむ「第二のリビング」として活用することができます。テラスやバルコニーにアウトドア家具をレイアウトし、日中は家族や友人とBBQやティータイムを楽しみ、夜にはエタノール暖炉の柔らかな炎を眺めながら夫婦でグラスを傾ける、そんな贅沢な時間が日常になります。
ただし、生活の延長線上に計画を行わないと、結局は使われなくなる空間になってしまうこともあります。日常的な空間とするには、庇やシェードによる日差しや雨への対策、メンテナンス性の高さが重要です。住まいの延長として自然に使いこなせる設計こそ、高級住宅における屋外空間の理想といえます。
駐車場・ガレージ

高級住宅では、家族それぞれが車を所有している場合やコレクションとして複数台の車を所有しているケースもあります。ただ停めるだけでなく、乗り降りや荷物の積み下ろしが快適に行える車寄せや、ゆとりのある間隔や動線が求められます。来客用の駐車スペースを含めた設計にすることで、住まい全体の格が上がります。
また、愛車を美しく魅せる“ギャラリー”のような設計も、高級住宅ならではの特徴です。ガラス張りの壁や大開口を介して、リビングや書斎、エントランスから愛車を眺めることができる空間は、車好きのオーナーにとっては最高の贅沢。インテリアの一部として車が存在し、住まいに個性と存在感を与えます。
パートナー選びのポイント
理想の高級住宅を実現するためには、設計、デザイン、施工を任せるパートナー選びが非常に重要です。一般的な住宅と異なり、高級住宅ではより高度な専門性やデザイン力、そして確かな技術力が求められます。
ここからは、信頼できるパートナー選びのポイントをご紹介します。
高級住宅の実績が豊富にある
まず確認したいのは、これまでに手掛けた高級住宅の実績です。単に価格帯だけでなく、建築の難易度やデザイン性、素材へのこだわりなど、多様な要望に柔軟に対応できるかどうかを見極めることが重要です
設計事務所やハウスメーカーを選ぶ際は、実際に完成した住宅を見せてもらい、HPやカタログだけではわからない完成度や、細部への配慮がなされているかをチェックしましょう。また、希望する間取り(大空間や大開口)やデザインスタイルを得意としているか、理想とする住まいに近い事例を手掛けた実績が豊富かを、しっかり見極めることが大切です。
設計力に長けている
理想的な高級住宅の間取りを実現するためには、設計事務所やハウスメーカーの「設計力」が非常に重要です。顧客の理想や要望、ライフスタイル、将来の暮らしまで丁寧にヒアリングし、それらを的確に図面に落とし込むスキルがあるかどうかを見極めましょう。
また、高級住宅では、土地の形状や法規制などの制約があっても、それらを逆手に取り、魅力ある空間設計へと昇華できる発想力・対応力が求められます。特に大空間の使い方や視線の抜けを活かした間取り設計などは、設計者の力量が問われる部分です。
実例資料やカタログ、完成物件を確認し、数社からプレゼンテーションを行いましょう。デザインコンセプトや間取りの工夫を比較検討することで、理想の高級住宅にふさわしいパートナーを選ぶヒントになります。
サポート体制が手厚い
引き渡し後のメンテナンスやアフターフォローなどのサポート体制も、パートナー選びのポイントです。
住宅の品質を保ち続けるためには、定期点検や不具合への迅速な対応が求められます。高級住宅では、設備や素材も特殊なため、適切な修繕提案が可能な体制が整っているかを事前に確認してください。また、保証制度の内容や実際の対応実績なども確認することで、万が一の際にも安心して相談できるかどうかを判断できます。高級住宅のパートナー選びにおいては、完成後も長期的に信頼できる設計事務所やハウスメーカーであるかどうかを見極めることが大切です。
高級住宅の間取りで後悔しないためのポイント
高級住宅を建てる際、間取りの失敗は簡単にやり直せない重要なポイントです。
ここでは、高級住宅の間取りで後悔しないためのポイントを2つご紹介します。
高級感と実用性の両立を意識する
高級住宅では、デザイン性やラグジュアリーな雰囲気に注目しがちですが、暮らしやすさや日々の使い勝手をないがしろにしてはいけません。生活動線、採光・通風、温熱環境などの住まいの基本性能をしっかり確保しつつ、家族のライフスタイルに合ったゾーニングを行うことが大切です。美しさと快適性を兼ね備えた間取りこそが、本当の意味での“高級住宅”といえます。デザインだけを重視した暮らし難い間取りにならないよう、意匠性と実用性のバランスが大切です。
できるだけ多くの事例を見る
理想の間取りを実現するためには、できるだけ多くの実例を見て、自身にとっての「最適な住まい像」を明確にしておくことが有効です。モデルハウスの見学や建築事例集の閲覧、WebやSNSでの情報収集を通じて、間取りのアイデアや空間構成の工夫を学ぶことができます。
また、実際に高級住宅を建てた施主の「成功した点」「後悔した点」などを知ることも非常に参考になります。他人の失敗や工夫から学ぶことで、自分の家づくりに活かせるヒントが見つかります。
プロの提案を受け身で受け取るだけでなく、自身の価値観や暮らし方に照らし合わせて能動的に判断することが、後悔のない間取りづくりにつながります。
アーネストアーキテクツの高級住宅の間取り事例
ここからは、建築設計事務所・アーネストアーキテクツが手掛けた高級住宅の事例をご紹介します。
包容力を魅せる



閑静な住宅街のひときわ目を引く角地での計画。お客様からも「立地を生かしたデザイン性の高い住まい」を求められました。
巻貝のような曲面外壁が印象的な本事例は、角地の変形敷地を巧みに活かした設計が特徴です。外部からの視線を遮りながらも、スリットやフロストガラスを通して光と風を取り込み、建物をまわり込むように階段を上がるドラマチックなアプローチ。庭に面して設けたガラス張りのメインエントランスが出迎えます。
室内に入ると、中庭やトップライトから降り注ぐ光が、まるでギャラリーのような静けさと美しさを演出。リビングは吹き抜けと大開口を備え、曲面の外壁によって包まれるような安心感と開放感を両立しています。インテリアはモノトーンを基調に、クラシカルな要素をほどよく織り交ぜた上質な空間です。
最大8台を収容できるガレージは、アクセントクロスを用いて、居住空間と一体化した美しい仕上がりに。地上階のメインエントランスと地下ガレージからアクセスできるサブエントランスを分けた間取りは、人と車の動線を分離することで、利便性と安全性を両立。美しさ・機能性・快適性を高次元で融合させた、包容力のある住まいです。
理想的な間取りの高級住宅を実現しよう
高級住宅の間取り設計には、美しさだけでなく、快適性や実用性を兼ね備えるバランス感覚が求められます。素材や設備へのこだわり、敷地条件への対応、ライフスタイルの変化に合わせた柔軟性は、どれも長く愛せる住まいに欠かせない要素です。
理想的な間取りを実現するためには、高級住宅の豊富な実績がある、信頼できる設計事務所やハウスメーカーに依頼することが大切です。
高級住宅専門の建築設計事務所アーネストアーキテクツでは、お客様一人ひとりの個性を尊重し、唯一無二の空間を創り出します。CGやウォークスルー動画を活用した視覚的なプレゼンテーションで、空間の魅力を直感的に共有。分業制による提案力と、プロジェクトごとに最適なチームを編成する組織設計によって、お客さまの想像を超える住宅をご提案します。「理想の高級住宅を建てたい」という方は、お気軽にご相談ください。