2025.7.25

コンクリート住宅

Earnest architects

High ceiling dining design│高級住宅 吹き抜けのダイニング
「デザイン性の高い家を建てたい」
「耐震性に優れた構造がいい」

耐震性や耐久性、間取りの自由度の高さなど、鉄筋コンクリートのメリットを生かした家づくりにより、上質な住まいとなるコンクリート造(RC)の住宅。注文住宅でコンクリート造(RC)の家を建てるなら、まずはコンクリート造(RC)について理解を深めておきましょう。
この記事では、そもそもコンクリート造(RC)とは何かといった基本的な知識から、注文住宅のデザイン例3選と一般に建築費が木造住宅より高いと言われているコンクリート造(RC)の価格を上回る価値や魅力が何かを探っていきます。

注文住宅で人気のコンクリート造(RC)とは?

コンクリート造(RC)が高級注文住宅に採用される理由

注文住宅の計画をするときの最大の魅力は、建物のデザインにこだわり、自分の趣味・趣向を反映させたオリジナルの家をつくれることです。
コンクリート造を略したRCは、「Reinforced Concrete(鉄筋コンクリート)」の頭文字から来ており、「RC」「RC造」といわれています。
建築方法は、工事現場で柱や壁の骨組みとなる鉄筋を組み、その周りを「型枠」といわれるベニヤ板などで囲み、その中にプラントで混合したコンクリートを流し込んで固めます。こうして、ワンフロアずつ建物の形ができあがっていきます。コンクリート造(RC)はデザインの自由度が高く、大きな空間を構成しやすいという点で、自分だけのオリジナルデザインの家をつくりたいというニーズのある高級注文住宅に多く採用されます。


コンクリート造(RC)のメリット&デメリット

コンクリート造(RC)は、そのデザイン性の高さから高級注文住宅に多く採用されています。これから実際にRC造の注文住宅を検討される方は、そのメリットとデメリットをしっかりと理解しておきましょう。

コンクリート造(RC)のメリット

コンクリート造(RC)のメリットは、遮音性・耐火性・耐震性の大きく3つあります。

メリット1:遮音性
遮音性とは、屋外への音漏れのしにくさ、屋外からの音の入りにくさ、そして上下階への音の伝わりにくさに関わる性能です。
音漏れは構造体だけで解決できる問題ではなく、サッシなどの開口部や換気扇といった設備部分の仕様にも大きく影響されます。それでも、構造体そのものの遮音性能が高ければ、たとえば気兼ねなくピアノを弾ける環境を整えたり、幹線道路沿いの住宅において外部からの騒音を軽減したりする効果が期待できます。上下階への音の伝わりやすさについては、コンクリート造(RC)のマンションと木造アパートを比較すると、その違いが想像しやすいでしょう。
メリット2:耐火性
災害によって火災が発生した場合、外壁の温度は1,000度近くに達するといわれています。
このような高温では、木造建築の場合、またたく間に火が広がり、全焼してしまう恐れがあります。一方、鉄筋コンクリート造の建物は、1,000度という高温にさらされても、数時間であれば耐えることができ、全焼や倒壊を免れる可能性が高くなります。特に、災害時に周囲からの延焼が懸念される建物密集地では、この耐火性は大きなメリットとなります。こうした機能性の高さが、高級注文住宅のニーズと合致し、RC造が選ばれる理由のひとつとなっています。
メリット3:耐震性
鉄筋コンクリート(RC造)の建物は、コンクリートが圧縮力に、鉄筋が引張力に優れているため、それぞれの特性を生かした地震に強い構造となっています。
ビルやマンションなどの大型建築に多く採用されていることからも、その優れた耐震性がうかがえます。

コンクリート造(RC)のデメリット

コンクリート造(RC)のデメリットは、湿気とカビの発生・建物の重量が重いの大きく2つあります。

デメリット1:湿気とカビの発生
コンクリート造(RC)の特徴であるコンクリートは、セメントが水と化学反応を起こすことで硬化します。つまり、打設時には多量の水分を含んでいるということです。
化学反応は初期段階で急速に進み、コンクリートは短期間で硬くなります。一定の強度が得られた時点で型枠が外されますが、内部の水分が完全になくなるまでには数年かかります。
そのため、新築から数年間は湿気が出やすく、とくに空気の流れが少ない納戸や、使用頻度の低い和室などでは、カビが発生しやすい環境となることがあります。襖を開け放つ、こまめに換気を行うなど、住まい手による除湿への配慮が求められます。
デメリット2:建物の重量が重い
コンクリート造(RC)は、鉄筋やコンクリートといった重量のある材料を使用しているため、木造など他の工法に比べて建物自体が重くなります。そのため、建築には強固な地盤が必要とされます。
地盤が緩い場合、地震の影響で地盤沈下や液状化が発生する可能性があります
こうした事態を未然に防ぐためには、地盤改良工事によって地盤を補強する必要があり、想定以上の工事費用が発生するケースもあります。

コンクリート造(RC)の費用について詳しく解説したコラムもご用意しております。ぜひ参考になさってください。

コンクリート造(RC)は、鉄筋やコンクリートといった重量のある材料を使用しているため、木造など他の工法に比べて建物自体が重くなります。そのため、建築には強固な地盤が必要とされます。
地盤が緩い場合、地震の影響で地盤沈下や液状化が発生する可能性があります
こうした事態を未然に防ぐためには、地盤改良工事によって地盤を補強する必要があり、想定以上の工事費用が発生するケースもあります。

コンクリート造(RC)の費用について詳しく解説したコラムもご用意しております。ぜひ参考になさってください。

コンクリート造の費用について


コンクリート造(RC)の注文住宅デザイン例3選

コンクリート造(RC)の注文住宅には、コストの高さを上回る多くの魅力がありますが、中でも特筆すべきはその優れたデザイン性です。
ここでは、設計事務所・アーネストアーキテクツが実際にコンクリート造(RC)で手掛けた注文住宅のデザイン実例をご紹介します。

RC造でつくる高級注文住宅の魅力1:大空間!

吹き抜け リビング 抜群の開放感 モダン
対面側から見たリビング ポイントウォール ライトカラーの石 明るい雰囲気 リビング モダン

2面をガラスで構成した、2層吹き抜けの大空間が印象的なこちらの住まい。
伸びやかな庭に囲まれ、広々とした空間に大きなガラス窓を設けることで、リビングにいながらまるで屋外にいるかのような開放感と居住性を両立しています。コンクリート造(RC)の特長である「大空間を構成しやすい」という利点を生かした好例です。また、RC造は木造のように傾斜屋根を必要としないため、すっきりとした箱型のボリュームを自由に組み合わせることができ、外観もスタイリッシュに仕上がります。これも、RC造のデザイン性の高さが評価される理由の一つです。

この事例を詳しく見る


RC造でつくる高級注文住宅の魅力2:自由な造形!

高級住宅の外観│コンクリート・モダン
高級住宅の外観│モダン・大開口

こちらの事例は、曲線デザインのCG提案を行い外壁を3次元の曲線で構成しています。型枠を現場で組んで、そこにコンクリートを流し込むことで、このような3次元曲線の造形ができます。
このようにコンクリート造(RC)は自由に造形をつくることができるため、デザインにこだわった高級注文住宅でコンクリート造(RC)を採用するケースが多いといえます。

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RC造でつくる高級注文住宅の魅力3:デザイン性!

High ceiling dining design│高級住宅 吹き抜けのダイニング
Modern living design│高級住宅 モダンリビング

こちらの例では型枠にベニヤ板ではなく杉板を用いることで、美しい木目がコンクリートに転写され、無機質なコンクリートが逆に自然な柔らかさを持ちます。このようなコンクリート打放しといわれるコンクリートの素材そのものの美しさを使ったデザインはモダンなデザインを好まれる人に高い人気があると同時に、コンクリート造(RC)の注文住宅ならではの魅力といえます。

この事例を詳しく見る


コンクリート造(RC)が高くなる理由

コンクリート造(RC)の費用感

注文住宅はオリジナルデザインとなるため、一般的な坪単価では正確な建築費を算出しにくいのが実情です。
参考までに、完全フルオーダーの高級注文住宅では、坪単価がおよそ250万円~といわれています。
こうした費用の高さも、建物の耐用年数で割って考えれば、初期費用を上回る資産価値を持つといえるでしょう。耐用年数の長いコンクリート造(RC)の建物であれば、初期費用だけでなく、孫やその先の世代まで見据えた家づくりとしても大きな意味を持ちます。

コンクリート造(RC)の建築費が高い理由

注文住宅におけるコンクリート造(RC)は、現場での施工が基本となるため、型枠や鉄筋を組む職人の人件費がかかり、工期も長くなる傾向があります。
つまり、工事費や間接経費が、木造や、あらかじめ工場で製造されたRCパネル工法に比べて高くなります
また、コンクリート自体の重量が大きいため、基礎も木造より強固なものが必要となり、場合によっては地盤改良や杭工事が求められるケースもあります。これらが、一般的にRC造の建築費が高くなる主な要因です。
一方、ハウスメーカーのRC造住宅では、工場で製造した鉄筋コンクリートのパネルを現場で組み立てるプレハブ工法が主流です。この方式では施工の効率化が図れる反面、デザインや間取りの自由度が制限されるというデメリットもあります。
注文住宅の場合は、現場で職人が鉄筋を組み、型枠を立てて一棟ごとにオリジナルの形をつくり上げていきます。同じコンクリート造(RC)でも、ハウスメーカーと注文住宅では施工方法や設計の自由度に大きな違いがあり、構造体は共通でも考え方や価値が異なるのです。


コンクリート造(RC)注文住宅における検討時の注意点

熱伝導率と室内環境コントロールを考慮する

コンクリート造(RC)の注意点の一つ目は、熱伝導率が高いために「夏は暑く、冬は寒い」というイメージを持たれがちなことです。
あえて“イメージ”と表現したのは、この印象の多くが、断熱に対する意識が十分でなかった一昔前のRC造に基づいているためです。
現在では、住宅の断熱性能は設計段階から重視されており、RC造の注文住宅の設計実績が豊富な設計事務所であれば、断熱への技術的な配慮は十分に行われていると考えてよいでしょう。さらに、大空間をガラスで構成した住まいなどでは、RC造の断熱性能だけでなく、空調や床暖房などを活用した室内環境のコントロールにも注意が必要です。

実績が豊富な業者を選ぶ

コンクリート造(RC)の注意点の二つ目は、施工会社の技術力と管理体制をしっかりと見極める必要があるという点です。信頼できる業者かどうかを判断するためには、実際の施工事例を見せてもらったり、どのような施工管理を行っているかを具体的に質問することが重要です。RC造の注文住宅は、プラントで混合されたコンクリートを現場で打設して構造体をつくるため、現場での施工管理が品質を左右します。
たとえば、鉄筋の組み方が正しいか、使用する鉄筋の太さが適切か、コンクリートを流し込む際の気温や天候はどうかなど、技術的に確認すべき項目は多岐にわたります。特に住宅の場合、施主は建築の専門知識を持たないケースがほとんどです。そのため、確かな施工技術と丁寧な現場管理を行えるかどうかが非常に重要です。
なお、WEBサイトは見た目をいくらでも魅力的に整えることが可能なため、サイト上の情報だけで施工会社の技術力を判断することはできません。


まとめ【注文住宅で人気のコンクリート造(RC)】

最後に、この記事でご紹介してきたポイントをおさらいです。

☑RC造のメリット
・音漏れや屋外からの音を防ぐ「遮音性」が高い
・災害などによる火災に対する「耐火性」が高い
・地震のゆれに対する「耐震性」が強い
☑RC造のデメリット
・最初は水分を多く含んでいるため、湿気とカビが発生しやすい
・建物の重量で地盤が下がったり、液状化を引き起こす可能性がある

☑コンクリート造(RC)の費用は、フルオーダーで設計すると坪単価は140万円前後かかる
☑コンクリート造(RC)は工事費と間接経費が木造や規格化されたものに比べて高い
☑注文住宅でコンクリート造(RC)を依頼する際は、施工実績と管理力がある会社を選ぶ

建築設計事務所・アーネストアーキテクツでは、住み手の価値観やライフスタイル、立地条件などを丁寧にヒアリングし、お客さまに最適なコンクリート造の住宅デザインをご提案しています。「理想のデザインがまだはっきりしない」「おしゃれな施工事例をたくさん見たい」とお考えの方も、お気軽にご相談ください。お客さまの“らしさ”が息づく住まいを、私たちが全力でサポートいたします。
また、CGやウォークスルー動画を活用した視覚的なプレゼンテーションで、空間の魅力を直感的に共有。分業制による提案力と、プロジェクトごとに最適なチームを編成する組織設計によって、常に高いクオリティを実現しています。
コンクリート造の住宅をご検討の方に、確かな安心とクリエイティブな提案をお届けします。ぜひ、ご相談ください。

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