2021.11.1

こだわり

Earnest architects

「ZEB」で叶える運用エネルギーコスト「ゼロ」への取り組み

住宅以外の設計をご紹介している今回の連載ですが、今週ご紹介するのは住宅と本社ビルを同時に依頼を受けたケースです。
「敷地内にある会社を道路向かいの土地を購入して移転させ、現在の敷地は自宅のみの計画としたい。」とのご要望でした。
敷地の奥に位置する自宅部分から計画を行い、本社ビルは新しいタイプのオフィスにしたいと希望されました。そこで計画したのは、建物の運用段階でのエネルギー消費量を省エネや再生可能エネルギーの利用を通じて、限りなくゼロにするという「ZEB」で叶える運用エネルギーコスト「ゼロ」への取り組みです。新時代の先駆けとなる挑戦を遂げた新本社ビルは地上3階建て。緑豊かなハス畑に向かって曲線を描き、床から天井までの大開口が特徴的なデザインになっています。

オフィスデザイン_外観
本社ビルの外観


外観の中央にあるメインエントランスは2層吹き抜けの空間で、ブラックガラスで仕切られた左側のエリアは社長室、応接室、会議室があるエリア。右側は給湯室や休憩室も完備されたオフィスエリアになっています。

オフィスデザイン_エントランス
メインエントランス
オフィスデザイン応接室
応接室


2階は工事、営業、設計など各部署のエリアがガラスで仕切られた見晴らしの良いオフィス。
地下水を熱源としたヒートポンプ式空調を導入し、地下水温度は外気温度より夏は低く、冬は高いため冷暖房に効率的です。十字にデザインされたLED照明と照明制御でさらなるエネルギー消費の削減を実現。緩やかに弧を描く大開口から光を取り入れ、昼光利用による照度の最適化を図っています。

オフィスデザイン_ガラス
2階のオフィス
オフィスルームデザイン
曲線の大開口が緑豊かな景色をとらえる


最上階の3階は多目的ホールがあり、セミナーや懇親会なども行える広々とした空間。
使用エネルギーや室内環境を監視・把握し、省エネルギーを管理するBEMSにより、より効果的な省エネ、省CO2、省コストを叶えています。この他、社員の多くが自動車通勤のため広い駐車場を設けており、電気自動車の充電ステーションも完備しました。会社が率先して取り組むことで、自家用車を電気自動車に切り替える社員が増え、環境への取り組みを行いやすいようにサポートしています。

オフィスデザイン
3階の多目的ホール


最先端技術で常に時代をリードする存在に

今回は、当社が設計した「本社ビル」をご紹介させて頂きました。この本社ビルは環境省が推奨する「ZEB」(Net Zero Energy Building)を取り入れた計画で、快適な室内環境を実現しながら建物で消費する年間の一次エネルギーの収支を限りなくゼロにすることを目指した建物となっています。
2015年12月に、ZEBの明確な基準が提示されたZEBロードマップが、経済産業省から公表されたことを受けて、ZEBを取り入れたこの本社ビルが完成したのは2017年の3月です。
オーナーにも「電気の使用量がとにかく減った。特にFIT LCによる大幅な削減効果を感じている」と、喜ばれています。これらの効果により、運用開始から1年が経過した段階での年間の1次エネルギー削減率は、平均で130~140%に達しているとのこと。
当社は最先端の技術をいち早く取り入れ、常に時代をリードする存在でありたいと努力を重ねています。今回ご紹介した本社ビルもそのひとつです。


来週で最終回を迎える”住宅以外の設計”ですが、最終回は高級住宅の設計で培ったデザイン力をフル活用した「マンション併用住宅」をご紹介致しますのでお楽しみに!


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