CONCEPT
眼下に広がる海と、晴れた日には富士山も望める絶好のロケーション。その雄大な自然を、室内にいながら五感で感じられるよう計画された別荘です。計画地は、海沿いの国道から急勾配の坂を上った先にある、静寂に包まれた高台。豊かな緑に囲まれた南下がりの傾斜地で、車の音も届かない穏やかな環境が広がります。
アプローチ側の外観は、地面から斜めにせり出すボリュームを持たせたデザイン。印象的な大判タイルを合わせ、その下部から建物内へ導かれる構成に。周囲の自然や静けさに調和するよう、閉じた表情を意識しました。一方で、海に面する側は軸線を海の方向に合わせ、まるで船が海へと漕ぎ出すような、躍動感と開放感のあるデザインです。内部は土地の傾斜に逆らわず、寄り添うスキップフロアを採用しました。エントランスから約90cm上がると開放的な2階リビングへと続き、一層下がったフロアにはベッドルームと水回りを配置。最上階のせり出した部分にはバスルームを設け、それぞれの高さから異なる自然の表情を愉しめます。約4mの天井高を確保したリビングダイニングは海に向かって全面開口とすることで、岬の緑や眼下の海を室内に取り込んだ“浮遊感のある空間”を生み出しました。
地形や環境と調和し、刻々と移ろう光や波、風を感じながら自然とともに過ごす伸びやかな別荘です。