CONCEPT
オーナーが求めたのは、外からの視線をできるだけシャットアウトしてプライバシーを保ちながらも、内側は開放感にあふれた家。道路を挟んで対面にある建物からの視線をカットしたいとの希望を受け、本来なら真っ先に確保したい南側の開口をふさいで1、2階の2層を壁面とし、その代わりトップライト(天窓)から十分な採光を得られるように設計した。また、壁面を斜めにすることで広がりを生み、雨の日には雨が壁を伝わって流れ、ゴツゴツした石の表情が変わり、壁面に水が伝う滝のような姿をリビングから眺められる。門扉をくぐり、10畳ほどのポーチ左側の壁に本磨きの黒い大理石の柱を斜めに配することで、ファサードの壁面とリンクさせた。その先のエントランスホールは直線的なポーチとは対照的に、随所に曲線を取り入れ柔軟さを与え、美しい曲線を描く階段が伸びやかに上階に誘う。外部から室内の様子がうかがえない住まいは、トップライト(天窓)とドライエリアから光を取り込み、空に向かって斜めに開くことで、開放感を得た都市型住宅。