創り込まれた小宇宙に昂ぶる

日々忙しく、在宅時間の少ないオーナーの希望は「帰るたびに新鮮な気持ちを味わえる、非日常的でスタイリッシュな住まい」。そこで、メイン素材には石とガラスが選ばれた。外観は曲線を描いたガラスのファサード。ガラスを下部から支えて自立させる特殊な構造で、船の帆をイメージしたデザイン。他にはないデザインだが、CGで描くことで理解しやすく、そのクオリティは門扉の形状まで完成時をそのまま再現している。

エントランスから入ると白地に淡いグレーの斑の入った大理石を効果的に配した空間が広がる。「ドラマチックホワイト」という色の名前にふさわしく、どこをとっても異なる微妙なニュアンスが見るものを感動させる、質の良い大理石を使用した。奥には水盤の演出を施し、外に向かった開口ではなくとも、開放的な空間になることを示した。

都心の住宅街で眺望は望めないため、開口は外観のガラスに覆われ、光のみを取り入れた。外観に使用したガラスは曇りガラスなので、外から室内の様子がわからない、高いプライバシーを叶えた。また、リビングの開口はこのガラスの壁に守られているため、大胆に開くことができ、開放的な空間を叶えている。

回廊を通った先にある和室のCG。大理石を贅沢に使った空間とは対照的な柔らかな雰囲気の和室。ポイントにしたステンレスの床柱が、モダンな大理石の空間とつながるモダンさもプラスした。完成時は天井を折り上げ天井に変更しているが、それ以外は障子のデザインまで、ほぼ同一の仕上がりを叶えた。