2015.6.7

別荘

Earnest architects

別荘建築:「水」 Part2

前回の別荘建築連載では「樹」の別荘をご紹介させて頂きましたので第二回は「水」の別荘を取り上げたいと思います。
昨年の2014年12月6日に発売されたモダンリビング218号でハーバーに隣接した別荘をご紹介頂き、多くのお客様から反響を頂きました。こちらの物件をブログでもご紹介させて頂きます。


モダンリビング218号

数ある別荘地の中でも珍しいボート停泊施設(バース)付別荘の計画で、「別荘で過ごす休日は日常を離れ、家族や友人と非日常の空間を愉しみたい」というオーナーのご要望からプランをスタートいたしました。

間接照明の光のラインに導かれるように照明を落とした廊下を進むことで外の世界(日常)との切り替えを意図とし、その先には高さ7.7mの吹き抜けのリビングが拡がります。開放的なLDKを建物の核とし、その両サイドにプライベートゾーンとゲストゾーンを設け、各居室空間を繋ぐ架け橋の役割もLDKが果たしています。大開口は弧を描くラインとし、リビングから少し高くなるキッチンからの視線は放射状に拡がり、ハーバーの景色を一望。生活感の出やすいキッチンはリビング空間にあっても生活感が表に出ないよう、換気扇や水栓器具の選定、扉などの仕上材の質感、面材の映り込みまで配慮した計画となっています。

アールの大開口を持つLDKを中心にプライベートゾーンとゲストゾーンに分棟したプランが外部からも伺えます。
雰囲気のある夜のダイニングキッチン。

また、ダイニングキッチンの天井をガラスで仕上げたことで抜け感を演出。海が北側にあるためリビングが北向きの配置ですが、2階の吹き抜けに面した南側の開口からガラス床越しに光を落とすなど、3Dモデリングで開口部からの光の入り方やそこから見える景色を再現し、検討することで北側に位置するリビングでも明るく開放的なLDKを実現いたしました。

キッチンから見た景色は視線が外まで一直線に抜け、天井もガラスで仕上げているため広がりのある空間となりました。
2階部分の床をガラスで仕上げることで南側の開口から入る光を1階に落とし、明るい空間に。

スイッチ類はホームオートメーションシステム(エコナビスタ)を採用することで極力壁面に現れない配置が可能となり、徹底的に生活感を抑えた空間に仕上げています。スマートフォンで照明・空調・床暖房・電動カーテンの制御を行い、さらには電気錠の施開錠管理も同システムに組み込まれているので、利便性や機能の向上も図っています。別荘を訪れる前に遠隔操作で換気を行い、冷暖房を事前に稼働しておくことも可能です。

広々としたテラスには外部用の家具DEDONが置かれ、アウトリビングとして海風を愉しみます。テラスの下にはクルーザーが横付けされ、階段を降りればすぐにクルーザーに乗り、いつでも海を航海することが可能です。生活感を感じさせない空間で、究極のリラクゼーションを堪能し、英気を養う。そんな、別荘ライフを実現した作品です。