2025.10.6

高級注文住宅

Earnest architects

高級住宅を建てようとお考えの方の中には、防音対策を重視される方もいるのではないでしょうか。ピアノやバイオリンなどの楽器演奏、映画・音楽鑑賞、落ち着いた環境での在宅ワークなど防音室にはさまざまな用途があり、日常の快適さを格別に高める空間となります。注文住宅の場合、間取りや素材選びの段階から防音性能を取り入れることも可能です。
本記事では、防音室の種類やメリット、設計上のポイント、施工事例などをご紹介します。ぜひ理想の住まい作りの参考にしてください。

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注文住宅に設ける防音室とは?

防音室とは、一般的な居室よりも高い遮音性を備えた特別な空間のことです。遮音性とは、音の伝わりを遮断して静かな環境を作り出す性能を意味します。
注文住宅においては、音楽鑑賞や楽器演奏を楽しむ際に近隣住民や他の部屋にいるご家族へ配慮するために、防音室が設置されることが多くあります。またホームシアターで迫力ある映画やテレビドラマを大音量で楽しむため、あるいは集中して作業に取り組むために防音機能を加えるケースもあります。設計段階から防音性能を考慮することで、ライフスタイルに適した理想の住空間を実現可能です。

防音室の種類

防音室には大きく分けて2つの種類があります。既存の部屋に小型ブースを設置する「組立式防音室」と、住宅の設計段階から遮音性能や音響環境を組み込む「フルオーダー式防音室」です。それぞれに特徴とメリットがあり、用途や目的に応じて選択することが大切です。

組立式防音室

組立式防音室は、既存の部屋の中に小型の部屋(ブース)を設置するタイプの防音室です。あらかじめ用意された部材を組み立てることが多く、簡易的に導入できることから「ユニットタイプ」と呼ばれることもあります。工事を必要とせず、短期間で設置できる点が大きな特長です。
必要に応じて移設することもできるため、転居やライフスタイルの変化に合わせて柔軟に対応できます。ただし、ユニットタイプである以上、室内の広さや遮音性能を自由にカスタマイズすることは難しく、楽器の種類や演奏音量によっては十分な性能を発揮できない場合もあります。そのため、比較的手軽に防音室を導入したい方や、限られたスペースで趣味の音楽を楽しみたい方に適した選択肢といえます。

フルオーダー式防音室

フルオーダー式防音室は、注文住宅の設計段階から防音性能を組み込むことで実現する本格的なタイプです。使用する楽器や発生する音源の音圧レベルを考慮し、求められる遮音性能に応じて工法や建材を選定していきます。例えば、グランドピアノや打楽器のように大きな音量を伴う楽器であっても、適切な施工を行うことで外部への音漏れを大幅に軽減できます。
またフルオーダー式防音室は単に音を遮断するだけではなく、音質を損なわず心地良く響かせる音響設計が可能な点も魅力です。さらに室内の用途や好みに合わせて壁や天井の仕上げ、音の反射や吸収の度合いまで細かく調整できるため、まさに理想の音環境を実現できます。自由度の高さと性能の高さゆえにコストはかかりますが、質を重視されるお客様にふさわしい選択肢です。

注文住宅で防音室を設けるメリット

注文住宅に防音室を設ける魅力は、音楽や趣味を存分に楽しみながら、周囲への配慮も両立できることです。防音室を備えると、演奏や鑑賞の際に近隣との騒音トラブルを心配せず、思う存分音のある暮らしを満喫できます。
また外部の騒音を遮断することで、作業に集中できる環境が整います。さらに、楽器を適切に保管できる専用の空間としても活用できる点は、音楽を愛する方にとって大きなメリットとなります。

騒音トラブルを気にせず音を出せる

防音室を設けると、楽器演奏や音楽鑑賞、映画やゲームなどを楽しむ際に音漏れを大幅に軽減できます。特に近隣との距離が近い住宅街では、演奏音や重低音が外に漏れることで思わぬトラブルが起こることも少なくありません。
防音室は単なる趣味のための空間ではなく、安心して暮らすための「環境づくり」のひとつです。周囲を気にすることなく思う存分に趣味や作業に没頭できることはもちろん、同じ家に暮らすご家族にとっても不要な音が届きにくくなるため、生活のストレスを抑える効果があります。

作業に集中できる

防音室の役割は音を外に漏らさないだけではありません。外部からの雑音を遮れるため、在宅ワークや学習に専念する場としても活用できます。ご自宅でオンライン会議の際、家族の声や生活音が気になることもありますが、防音室があれば心配不要です。外部の音を遮断することで、まるで無音に近い環境を実現し、集中力を高められます。特に長時間の作業や研究、クリエイティブな仕事に取り組む方にとって、防音室は大きな価値を持つ空間です。

楽器を保管できる

居住スペースと切り離された防音室は、演奏の場であると同時に、楽器を安心して保管できる空間でもあります。外部の騒音や温度変化を遮断することで、デリケートな楽器の劣化を防ぎ、最適な環境を維持できます。演奏から保管までを一室で完結できる点は、趣味をより快適に楽しむ大きなメリットです。

防音室を設ける際に考えるべき遮音等級

注文住宅で防音室を検討する際には「どの程度の音を遮断できるか」を示す遮音等級を理解しておくことが重要です。音の大きさはデシベル(dB)という単位で表され、値が大きいほど音も大きくなります。例えば、50デシベル前後だと日常生活ではさほど気にならない音とされています。

<音の大きさの目安(※)>

音の種類 デシベルの目安
普通の会話 約50〜61デシベル
テレビ 約57~72デシベル
エレクトーン 約77~86デシベル
ピアノ演奏 約80〜90デシベル
犬の鳴き声 約90~100デシベル

さらに遮音等級は「D」あるいは「Dr」で表され、隣接する部屋にどれほど音が伝わりにくいかを示します。例えば、100デシベルの音を50デシベルまで下げられる場合、その性能は「D-50(Dr-50)」と表記されます。

用途に応じて必要な遮音性能は異なります。防音室を設計する際には、演奏する楽器や利用シーン、そしてご家族の生活スタイルや周辺環境に合わせて、適切な遮音等級を選ぶことが大切です。

※参考:東京都環境局.「日常生活における騒音」.https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/noise/noise_vibration/daily_life_noises ,(参照2025-09-16).

注文住宅で防音室を設ける際のポイント

防音室を理想的に仕上げるには、設計段階から複数のポイントを押さえることが大切です。用途に応じた防音性能の選定、ライフスタイルの変化に備えた柔軟な設計、気密性ゆえの暑さ・寒さ対策、外部との連動設備や法律上の制約など、検討すべき要素は多岐にわたります。ここでは代表的なポイントを整理してご紹介します。

用途や利用シーンを明確にする

防音室を設ける際には、最初に「どのような目的で使用するか」を明確にすることが重要です。楽器演奏や映画鑑賞、在宅ワーク・オンライン会議など、用途によって必要な遮音性能や施工方法は大きく異なります。例えば同じ楽器演奏でも、グランドピアノとバイオリン、エレキギターでは求められる遮音性能が異なります。
さらに利用する時間帯も重要な判断材料です。深夜や早朝に使用する予定がある場合は、通常以上の遮音性能を備えておくと安心です。こうした使用条件を具体的に把握しておくことで、快適性や専門性をより高められます。

ライフスタイルの変化を見据える

防音室をお子様の楽器練習用に計画している場合、進学や就職を機に使用頻度が減ってしまうことがあります。だからこそ、将来的には書斎や趣味の部屋などに転用できるよう計画しておくことが大切です。せっかくの防音性能を活かし、映画を楽しむシアタールームや、趣味に没頭できるゴルフルームとして利用するのも良いでしょう。お子様が小さいうちは練習室として、独立後はご夫婦が楽しめる空間として活用することで、防音室は長く価値ある場所となります。

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暑さ・寒さ対策を徹底する

防音室は高い気密性を備えているため、一般的な居室と比べて熱や湿気がこもりやすい傾向があります。特に夏場は温度が上昇しやすく、快適性の低下や、保管している楽器のコンディションにも悪影響が懸念されます。そのため、防音室にはエアコンが必須です。特に高価な楽器の保管も兼ねている場合は湿度にも注意が必要で、防音性能を損なわない特殊な施工方法を採用する必要があります。四季を通じて快適に利用できる環境を整えることで、防音室は長期的に価値ある空間として活躍します。

音響設計を同時に行う

防音性能を高めるだけでは、音がこもったり響きすぎたりして快適に演奏·鑑賞できません。壁や天井の形状、吸音材の使い方などを工夫し、心地よい音響環境を整えることが重要です。防音と音響は表裏一体であり、計画段階から同時に行うことで理想的な空間に仕上がります。

法律上の制約を理解する

注文住宅に防音室を設ける際には、建築基準法や消防法などの法律を把握しておく必要があります。設計段階で法律上の制約を理解していないと、希望通りの防音性能や仕様を実現できない場合もあります。ここでは代表的な法律を2つご紹介します。

建築基準法

建築基準法では、設計上「居室」とされる部屋には採光と換気のための窓を設けることが義務付けられています。ただし、防音室の場合、開口部を設けることで防音性能が低下してしまう恐れがあります。そのため、既存の窓には防音サッシを取り付ける、二重窓にするなどの対策が求められます。
また、本体建物の設計段階から防音工事業者に相談しておくことで、建築確認申請時の仕様(防音室を居室として申請するか、納戸として申請するか)、工事仕様や施工区分などを設計事務所や工務店と協議しながら計画することが大切です。

消防法

消防法により、住宅には火災警報器の設置が義務付けられています。通常の部屋では音で警告に気づけますが、防音室は外部の音を遮断するため、他の部屋で火災報知機が作動しても気づきにくいため、防音室にも警報器を設置し、他の部屋と連動させる必要があります。
さらに、光やランプによって視覚的に警報を確認できる装置を備えるとより安心です。

豊富な実績のある施工会社に依頼する

防音室は特殊な設計と施工が求められるため、どのような施工会社でも容易に対応できるものではありません。経験やノウハウが不足している施工会社に依頼すると、想定していた防音性能が得られず、後悔につながる可能性もあります。そのため、防音室の施工実績が豊富で専門的な知識を持つ、施工会社に依頼することが重要です。確かな実績を持つ施工会社の場合、遮音性能の数値や使用する建材の特徴を明確に示し、希望に合ったプランを提示してくれます。信頼できるパートナーと共に計画を進めることで、理想的な防音空間を実現できます。

アーネストアーキテクツが手掛けた防音室の施工事例

建築設計事務所のアーネストアーキテクツは、高級住宅の設計において防音性能の高い数々の部屋を手掛けてきました。お客様の希望に合わせて、防音性能の他にも空間の美しさや居住性を高める工夫を随所に盛り込み、理想の暮らしを叶える住まいをご提案しています。ここではアーネストアーキテクツが手掛けた、防音室の施工事例をご紹介します。

季節という時を刻む家

幹線道路に面しながらも、高さ4mの塀で遮断をした住まいです。北側の和室は道路に面しているものの、高い塀により得た静寂を味わいながら、旧宅の庭石や樹木で設えた和庭園を愛でられます。また防音設備を施したスタジオでは、夜でも気兼ねなく音楽を楽しめます。

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均整を図った都市型住宅

南側の道路に面した奥行きのある敷地を最大限に活かした都市型住宅です。地下のシアタールームは天井に吸音材を施した本格仕様とし、臨場感ある映像体験を実現しました。エレガントな雰囲気の上階とは対照的に、モダンで落ち着いた空間に仕上げ、インテリアの違いを楽しめます。

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注文住宅で実現できる理想の防音空間

防音室は趣味や仕事に専念でき、暮らしの質を格別に高めてくれる空間です。注文住宅では、楽器演奏やシアタールーム、在宅ワークなど用途に応じて遮音性能や室内設計を自由に調整できるため、お客様ご自身の理想を形にできます。さらに、将来のライフスタイルの変化を見据えて設計しておけば、長期的に活用できる価値ある空間となるはずです。

アーネストアーキテクツは、豊富な実績と独自の設計力を基に、機能性とデザイン性を兼ね備えた防音空間をご提案しています。カタログのご請求はもちろん、建築に関するご相談や見学も随時承っております。理想の暮らしを実現する第一歩として、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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