第二回│工場見学
2013.9.30
インテリア
森康洋
Cassina ixc.
「工場見学」
今回は、製造現場についてご紹介いたします。
Cassinaの工場はミラノ中心部から車で1時間ほどのメダという町にあり、縫製工場と木工工場のふたつに分かれています。
まず、入庫した革や布はここで全て検反され、傷などがついている箇所をすべてチェックします。
そして機械で商品のパーツの形にカットされていきますが、先ほどチェックした傷のある箇所を避けて最大限有効に型が取れるよう、機械が計算して自動的に配置しています。
裁断の次は、縫製エリアです。
皆さん、この特徴的なステッチに見覚えはありますでしょうか?
都市計画の専門家且つ建築家でもあったヘーリット・トーマス・リートフェルトの、自由な精神と造形美が表れた独特のフォルム。
正解は、ユトレヒトでした。
何を作っているのか想像しながら見るというのが、工場見学の醍醐味ですね。
こちらは、おなじみのソファ。
マラルンガソファの背の部分に張地をかぶせているところです。
マラルンガは、1973年に発売され今年で40周年を迎えました。
背もたれが折り畳めるという画期的なデザインにより、発売以来のベストセラーアイテムとなりました。ニューヨークの近代美術館にもコレクションされており、デザイン、実用性、座り心地をすべて兼ね備えた、まさにソファの最高傑作と言えます。
こちらは木工工場。
壁際の棚の上部には今までの商品のプロトタイプがずらりと並んでおり、Cassinaの歴史を垣間見る博物館のようです。
マリオ・ベリーニ氏デザインで無垢の集成材を使用した「ラ バシリカ」テーブル。狂いがないか、職人が厳しくチェックしています。
そして、Cassinaのダイニングチェアで一番人気のCABチェア。
木工工場の2階が、なんとCABチェア専用フロアになっています。
スチールフレームが革の洋服をまとう、支度部屋といったかんじでしょうか。
このときお昼の12時を過ぎてしまっており、職人さんたちはお昼休みで不在でした・・・。
実は、我々Cassina ixc.は、世界中のCassinaの代理店の中で唯一ライセンス生産を許されており、群馬県にある工場で人気のマラルンガソファなど一部商品を生産しています。
どんなにいいものを作っていても、時代に合った伝え方がなされなければ生き残ってはいけません。例えば、日本ではあまり人気のなかったウィスキー。ハイボールという飲み方を提案することで若い世代にも受け入れられ、今や大人気です。ハイボールは昔からあったのですが、ただ、カロリーが低い点や炭酸の爽快感が今の時代に合っていて受け入れられた、ということなんです。
職人の技術は伝統によるものですが、ただそれを守っていくだけでは廃れてしまいます。近代に入って「家具の大量生産」が革新的なことだったように、時代ごとに新しいことにチャレンジしていかなければならないと思います。
私は学生時代にバリバリの体育会ラグビー部だったこともありスポーツ全般が大好きなのですが、週3,4回はランニングを欠かさず、必ずタイムの目標設定をして走っています。先週の自分を超えられなかったときは悔しくて悔しくてたまらないという、大変負けず嫌いな性格ですので、そうした際は翌週に即再チャレンジする、ということを続けています。
「チャレンジし続けること」や「One for All, All for One」のチームワークの精神など、ラグビー部で得たものは現在仕事においても大いに役立っています。
イタリア本国Cassinaも、日本のCassina ixc.も、伝統を守りながら挑戦、進化し続けますので、ぜひ今後もご期待ください。