最終回│ミラノ出張
2013.10.15
インテリア
森康洋
Cassina ixc.
「ミラノ出張」
9月下旬にイタリアのミラノに行ってきました。
連載第2回でご紹介したMedaの工場の隣にはショールームが併設されているのですが、今回ピエロ・リッソーニ氏のディレクションにより改装されました。
グレーの床板と壁にウェンゲ色の家具。
グッと大人っぽい印象の上質な空間になっています。
今回の出張の目的でもありますが、イタリア本国カッシーナがこの度、イタリアデザインの発展に大きく貢献してきたsimon collezione(シモン・コレツィオーネ)をコンテンポラリーコレクションに加えることとなり、そのお披露目パーティーに世界各国の主要ディーラーが招待されました。
シモンとカッシーナの関係は1950年代にまで遡ります。
シモンの前身となるGavina(ガヴィーナ)社の創始者Dino Gavina(ディノ・ガヴィーナ)氏は、家具の生産を芸術としてではなく、産業的なものとして捉えていました。
1950年代前半からデザイナー、建築家との協働を始め、1962年、モダニティの代表的アイコンとなっていたバウハウスのワシリーチェアを復刻し量産しようとしたのが始まりです。ル・コルビュジエの家具にも目を付けましたが、非常に細かい技術が必要だったため、自社での復刻はあきらめてカッシーナ社に紹介したと言われています。
空間を豊かにするためには家具だけではなくその他のものも必要だと考え、ガヴィーナ氏とチェーザレ・カッシーナは、「ARCO」などの照明で知られるFLOSを設立しました。
彼のデザイン、アート、芸術に対するエネルギーと情熱により、シモンはデザイン界のリーディングカンパニーのひとつとなったのです。
1957年、ミラノのトリエンナーレで日本館のインテリアデザインを手がけた建築家高濱和秀氏と出会い、日本の漆塗りに感銘を受けたガヴィーナ氏。どうにか近い形で量産ができないかと考えたのが、現在のラッカー塗装だそうです。
コレクションの中には高濱和秀氏のデザインも多数あります。
伝統的イタリア家具ブランドの2社が今日ひとつになったことは、イタリアデザインの歴史において文化的にも産業的にも非常に重要な出来事となりました。
シモン・コレクションは、日本では来年導入予定です。
ミラノではこのようにシモンが華々しくローンチされたわけですが、私どもカッシーナ・イクスシーでは、10月31日(木)より新作展示会を行います。
Cassinaおよびixc.からの新作商品展示のほか、マラルンガソファの発売40周年を記念した特別インスタレーションもご披露いたします。
今回の展示会テーマは”WINTER ALCHEMY”。「ALCHEMY」とは「錬金術」という意味ですが、つまりカッシーナ・イクスシーのコーディネートの魔法により、より一層素敵な空間を作り上げるということを意味しております。
是非この機会にご来店いただき、ミステリアスな深い夜の闇に広がる冬の魔法世界をお楽しみください。
全4回、お付き合いいただきましてありがとうございました。