コンクリート住宅の欠点3つとは?木造にはないメリットと併せて紹介
2025.7.25
コンクリート住宅
Earnest architects

「木造住宅とコンクリート住宅の違いは?」
デザイナーズハウスやホテルを思わせる高級住宅の多くは、鉄筋コンクリート造(RC造)で建てられています。鉄筋コンクリート造ならではの大胆なデザインや、コンクリート打ち放しのモダンなテイストは人気が高く、コンクリート住宅を検討している方も多いと思います。
しかし、快適な暮らしはデザインだけでは成り立ちません。あらかじめコンクリート住宅の欠点を理解しておくことが大切です。
ここでは、コンクリート住宅を検討されている方に向けて、その欠点と、それを上回るメリットについて解説します。記事の後半では、実際のコンクリート住宅の事例を画像とともにご紹介します。
目次
コンクリート住宅欠点3つ
コンクリート住宅を購入する前に、欠点はしっかり把握しておきたいものです。ここでは、主な欠点を3つご紹介します。
欠点1.外気の温度変化の影響を受けやすい
コンクリートは熱伝導率が高いため、外気温の影響を受けやすい構造体です。たとえば、マンションの最上階が夏場に暑くなりやすいのは、屋根面のコンクリートが熱を蓄え、夜になっても冷めにくいためです。
そのため、鉄筋コンクリート造の建物では、屋上階の断熱をコンクリートの外側で行い、屋根面の蓄熱を抑える工夫が必要です。
また、外壁をコンクリート打放し(コンクリートそのものの風合いを仕上げ材として見せるデザイン)にする場合は、内断熱(柱と柱の間に断熱材を充填する工法)が一般的です。外断熱(建物全体を断熱材で覆う工法)は、壁が厚くなり、手間や工期がかかるため、費用も割高になります。
以前は、住宅における断熱性能への意識が今ほど高くなかったこともあり、熱を通しやすいコンクリート住宅には「寒い」というイメージがありました。しかし、現在では適切な断熱計画によって、コンクリート住宅でも外気温に左右されない快適な空間をつくることが可能です。
欠点2.カビが発生しやすい
コンクリートは吸水性が高く、表面から水分を吸い込んで溜め込みやすいため、カビが発生しやすい素材です。特に、人の出入りが少なく、空気の入れ替えが少ない納戸や、普段あまり使わない和室、空気がこもりやすい地下室などでは、換気や除湿の対策が必要です。
また、コンクリート打放し仕上げの場合は、汚れを吸着しやすいという欠点もあります。特に外装に採用する際は、コンクリートの風合いを損なわないコーティング処理など、適切なメンテナンスを検討する必要があります。
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欠点3.費用が高い
一般的にコンクリート住宅は木造住宅よりコストが高いと言われます。これは構造体の単価の他に、木造住宅より工期がかかることによる経費や仮設費用、木造より重いコンクリートの建物重量を支える基礎の違いなどが反映されるためです。
コンクリート住宅は、鉄筋の基礎組みから躯体(くたい)の鉄筋を組み、そのまわりに型枠材を建て、その中にコンクリートを流し込んで固まるまで待つなど、木造に比べて手順が多くなります。コンクリートの打設は雨天では行えないため、工期が延びる原因にもなります。
また、鉄筋コンクリート造の家は重量があるため、建物を支えるために地盤改良や杭工事が必要になる場合もあります。地下室が欲しいが、予算や工期に限りがある場合は、地下部分のみを鉄筋コンクリート造とし、地上階を木造とする混構造を採用するのも一つの方法です。
欠点をしのぐコンクリート住宅のメリット2つ
メリット1.耐久性や遮音性の高さ
コンクリート住宅のメリット1つ目は、耐久性や遮音性、耐火性が高いことが挙げられます。コンクリート住宅は建物の環境にもよりますが、定期的なメンテナンスを行えば120年~150年の耐久年数があると言われます。
初期投資は高く付いても、長年住み続ければそのコストに見合うメリットがあり、遮音性の高さはプライバシーを確保したい二世帯住宅や音楽室やシアタールームを計画する時に適しています。物音に敏感な方は、コンクリート住宅の遮音性は大きなメリットです。また、耐火性も高く、木造住宅より火災から大切な我が家を守りやすいというメリットもあります。
メリット2.デザイン性の高さ
コンクリート住宅のメリットの2つ目は、デザインの自由度が高いことです。無機質でシャープな外観や、大きな開口部や2層吹き抜けの大空間などの開放的な空間を思い浮かべる方も多いと思います。
一方で、木造住宅はコンクリート住宅と比べてデザイン性が劣ると思われがちですが、実際には2層吹き抜けの大空間や曲線を取り入れた設計も可能で、工夫次第で高いデザイン性を実現できます。
ただ、その規模には制限があり、木造住宅よりもコンクリート住宅の方が窓などの開口部を大きく取れたり、仕切りや柱の無い大空間に適しています。曲線もよりダイナミックなデザインが可能で、壁にタイルや石を貼りたい場合はコンクリート造の方がおすすめです。このように、コンクリート住宅はデザインの制限が掛かりにくいため「デザイン性が高い」と言われます。
コンクリート住宅の事例2選
ここでは、実際のコンクリート住宅の事例を画像とともにご紹介します。
事例1.コンクリート打放し住宅

コンクリート打放しは、コンクリートそのものが持つ素材の美しさを活かした仕上げといえます。無機質で冷たい印象がかえって無駄を削ぎ落としたモダンな住まい、インテリアのアクセントとして人気を集めています。
また、コンクリートに木目模様を加えることで、無機質な表情に有機的なあたたかみを添えるなど、さまざまなデザイン表現が可能です。余計な仕上げを施さず、建物の造形そのものを際立たせられる点も、住まい手だけでなく建築家から支持される理由のひとつです。
なお、コンクリート打放しのような仕上げは、木造建築でも実現できます。構造に関わらず、コンクリートの素材感をデザインに取り入れた事例を紹介しているので、こちらも参考にしてください。
事例2.曲線を活かした住宅

デザインの自由度が高いコンクリート住宅は、曲線を取り入れた設計も多く、無機質な素材でありながら「柔らかさ」や「華やかさ」を感じさせる空間づくりも可能です。コンクリート住宅は、モダンなデザインだけでなく、エレガントなスタイルや重厚感のある意匠にも活用されており、表現の幅が広いのが特長です。
一般的に、コンクリートには冷たく無機質な印象を抱かれがちですが、それは打放し仕上げのシャープな住宅イメージによるもので、実際には仕上げ方や設計の工夫によって多彩なデザインが実現できます。
曲線を取り入れたデザイン事例もご紹介していますので、あわせてご覧ください。
コンクリート住宅と木造住宅で迷ったときは?

木造住宅に比べて建築コストが高めなのが、コンクリート住宅のデメリットとして挙げられます。ただし、必ずしも木造住宅の方が安いとは限りません。
たとえば、「外壁を石張りにしたい」「大開口がほしい」「柱や壁のない大空間をつくりたい」「音への配慮が必要」「地下室も設けたい」といった要望があるコンクリート住宅の方が適している家を、木造で実現しようとすると特別な補強や防音対策が必要になり、結果としてコンクリート住宅と同等、もしくはそれ以上のコストがかかることもあります。
つまり、コンクリート住宅と木造住宅のどちらが優れているかではなく、住み手の要望や価値観、敷地の条件によって適した構造が異なるということです。それぞれのメリットやデメリットを正しく理解したうえで、ご自身の理想の住まいにはどの構造がふさわしいのかを見極めることが大切です。
また、家の構造選びには、地盤や敷地の条件も大きく影響します。そのため、鉄筋コンクリート造と木造、どちらが適しているのかを判断するには、建築のプロである設計事務所などに相談するのが有効です。その際に重要なのは、特定の構造に偏った意見ではなく、中立的かつ柔軟な視点で判断できることです。
たとえば、ハウスメーカーはあらかじめ構造が決まっていることが多く、自社で対応可能な構造を勧める傾向があります。また、設計事務所にも得意とする構造体が偏っている場合があります。こうした状況では、本当に適した構造を選ぶことが難しくなります。鉄筋コンクリート造、木造、鉄骨造、混構造といった多様な構造に実績のある設計事務所であれば、要望や敷地条件に合った構造を的確に提案してもらえます。
建築設計事務所のアーネストアーキテクツは、鉄筋コンクリート造・木造・鉄骨造・混構造といった多様な構造において豊富な設計実績があります。建物の用途や敷地条件、ご要望に応じて最適な構造をご提案できる体制を整えており、構造にとらわれない自由な発想で理想の住まいづくりをサポートします。ぜひご相談ください。
【まとめ】コンクリート住宅の欠点を踏まえて購入を検討しよう
最後にこれまでのおさらいをしましょう。
- 最後にこれまでのおさらいをしましょう。
- ☑コンクリート住宅の欠点
・温度変化の影響を受けやすい
・カビが発生しやすい
・費用が高い
☑コンクリート住宅のメリット
・耐久性や遮音性の高さ
・デザイン性の高さ
☑コンクリート住宅と木造住宅で迷ったら『建築のプロ』に相談
コンクリート住宅にはいくつかの欠点もありますが、技術的な工夫によって十分に対応できます。
注文住宅において大切なのは、ご希望の住まいに対して鉄筋コンクリート造が適しているのか、あるいは木造の方がふさわしいのかを正しく見極め、適切に提案できる設計事務所を選ぶことです。
人気の高まるコンクリート住宅に対する理解を深めたうえで、理想の暮らしに最適な構造を選び、快適な住まいづくりを行いましょう。
建築設計事務所のアーネストアーキテクツでは、お客さまのニーズや要望を丁寧にヒアリングした上で、コンセプトデザイナーやディレクトデザイナー、インテリアコーディネーター、クラフトデザイナーといった各分野のプロフェッショナルが一丸となって理想のモダン住宅をトータルプロデュースいたします。
これまで培った技術力と独自の設計スタイルにより、実用性とオリジナリティを兼ね備えた理想の住まいをかたちにします。コンクリート住宅をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。