設計事務所に注文住宅を依頼するメリットとは? 注意点やハウスメーカー・工務店との違いもご紹介
2025.12.22
こだわり
Earnest architects
注文住宅は、住まい手の価値観やライフスタイルを細部まで反映できる、世界にひとつだけの住まいです。理想を実現する選択肢として「設計事務所への依頼」が挙げられます。設計事務所の建築家は、土地が持つポテンシャルや住まい手のライフスタイルに合わせ、心地よさとデザイン性を両立した空間を創出。既成のプランに縛られない自由度の高さこそ、設計事務所が手がける注文住宅の大きな魅力です。
本記事では、設計事務所の特徴やメリット、ハウスメーカー・工務店との違い、依頼時の注意点などを分かりやすくご紹介します。これから理想の注文住宅を実現したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
設計事務所の特徴
設計事務所は、建築家が住まい手の暮らし方や価値観に丁寧に寄り添い、一邸ごとに最適な住まいをゼロから組み立てる専門機関です。既成プランを前提にしないため、土地のポテンシャル、日当たりや風の流れ、生活動線、素材選びまで、住み手に合わせて自由度の高い設計を行います。
また、建物の施工は工務店や施工会社が担当し、設計と施工の役割が明確に分かれている点も特徴です。
建築家(設計士)は設計だけでなく、工務店や施工会社が行う工事に対して「監理」を行い、図面どおりに施工が進んでいるか、仕上がりの精度や品質に問題がないかを細かくチェックします。美しさだけでなく、機能性・快適性・構造の安全性まで総合的に判断しながら空間をデザインします。
ハウスメーカーとの違い
ハウスメーカーは、全国で均一の品質と工期を実現するために、あらかじめ用意された規格プランや工法をベースに家づくりを行います。大量生産によるコストメリットや、設備・仕様が選びやすい点が魅力で、短期間で安心して家を建てたい住まい手に向いています。
その一方で、自由度には一定の制限があり、敷地条件が特殊な場合や、デザイン・素材に強いこだわりがある場合には対応できる範囲が限られるケースも見られます。
ハウスメーカーの仕様や世界観が理想に近い場合には非常に効率的な選択肢となりますが、住まいに独自性や高いデザイン性を求める方にとっては、自由度が高く細部まで設計できる設計事務所の方が適していると言えます。
工務店との違い
工務店は、地域に密着して建物の設計から施工までを一貫して担う住宅会社です。少人数で運営されることが多く、地域に根ざした家づくりを得意としています。また、工務店ごとに得意分野や技術力の差が大きく表れやすい点があります。
工務店には、主に以下のような種類があります。
- 独立系工務店
- 建築家や大工、営業担当が自社内に揃い、設計から施工までをワンストップで提供する工務店
- 施工特化型工務店
- 建築士は在籍せず、施工技術に定評がある設計事務所と連携するケースが多い工務店
- 下請け特化型工務店
- ハウスメーカーなどの依頼を受け、主に下請けとして施工を担当する工務店
工務店では広告費をあまりかけない分、そのコストが住宅価格に上乗せされにくいという特徴があります。そのため、家づくりにかかる費用を抑えられる傾向があります。一方で職人の技術力によって住宅の品質に差が出ることもあるため、依頼する際は実績や施工品質をきちんと確認することが大切です。
設計事務所に注文住宅を依頼するメリット
設計事務所へ依頼する魅力は、自由度の高さと建築家ならではの豊かな発想にあります。ここからは、設計事務所に注文住宅を依頼するメリットをご紹介します。
建築家による唯一無二のデザイン
設計事務所の最大の魅力は、建築家が空間全体をトータルで設計するため、住宅のデザイン性が格段に高まる点です。外観のプロポーション、光の取り込み方、素材の質感、細部の納まりまで美しく整えられた住宅は、唯一無二の存在感を放ちます。
また、住まい手のこだわりを細部まで反映できる点も設計事務所ならではの強みです。キッチンの使い勝手、収納の寸法、手ざわりや質感に至るまで、理想を丁寧にデザインへ落とし込むことができます。
「妥協せずに理想を形にしたい」「自分だけの注文住宅をつくりたい」とお考えの方には最適な選択肢と言えます。
間取り・構造・素材まで“完全自由設計”
設計事務所では、既成のプランに縛られず、間取りや素材のすべてをゼロから組み立てます。構造も、ハウスメーカーでは採用する構造が決まっていることが一般的ですが、設計事務所では土地の条件や求める暮らし方に応じて、木造・鉄骨造・RC造、あるいは混合造など、多様な工法から最適なものを選択できます。
ライフスタイルに合わせた動線計画や、天井高・開口部の設定、造作家具のデザインなど、細部まで住まい手の要望に合わせて最適化でき、本当の意味で「オーダーメイド」を実現できるのが設計事務所です。
変形地・狭小地・高低差のある土地にも柔軟に対応
旗竿地や傾斜地、狭小地など、一般的に建てにくいといわれる土地では、規格化されたハウスメーカーのプランが適用されないケースもあります。
設計事務所は土地の形状に課題がある場合でも、その敷地のポテンシャルを最大限に読み解き、魅力へと変える設計が可能です。変形地を活かした空間構成、狭小地でも広がりを感じる設計、高低差を利用した立体的なプランニングなど、一般的な住宅会社では難しいケースにも柔軟に対応でき、「土地に合わせる家」ではなく「土地を活かす家」設計を行います。土地条件をデメリットではなく個性として捉え、魅力的な住宅を実現できる点は設計事務所に依頼する大きな強みです。
適正コストで工事を進められる
設計事務所に依頼する大きなメリットの一つが、設計事務所は施主の立場に立ち、設計と施工を切り分けてプロジェクトを進行できる点です。
施工会社の選定には、設計内容をもとに複数の施工会社から競合見積りを取得し、金額だけでなく工事内容や仕様、施工体制まで細かく比較・精査します。これにより、単に安さを優先するのではなく、品質や技術力を踏まえたうえで、最適な施工会社を選定できます。
また、見積書の内訳についても専門的な視点でチェックを行い、過不足や不明瞭な項目があれば調整・是正を行います。結果として、無駄なコストを抑えながら、設計意図を正しく反映した工事につながります。デザイン性だけでなく、品質とコストの両面を安定させられることが、設計事務所に依頼する大きな価値と言えます。
設計事務所に注文住宅を依頼する際の注意点
設計事務所は自由度の高い住宅を設計できる一方で、依頼に際して注意しておくべきポイントがあります。ここからは依頼前に把握しておきたい注意点をご紹介します。
希望にマッチした設計事務所を選ぶ
設計事務所に注文住宅を依頼する際は、事務所ごとの得意分野を理解して選ぶことがとても重要です。モダンデザインを得意とする事務所、素材感を生かした住宅が強い事務所、和の表現に長けた事務所など、設計事務所ごとに“得意な世界観”が明確に分かれています。そのため、自分たちの理想に近い事例を多く手がけているかどうかを確認することが、満足度の高い家づくりへの第一歩となります。
また、注文住宅は設計期間が長く、住み手と設計者が密にコミュニケーションを取りながら進めるため、設計者との相性も見逃せないポイントです。こちらの要望をきちんと理解し、柔軟に提案してくれるかどうかは非常に重要です。たとえば、「モダンな家が良いと思っていたが、設計が進むうちにエレガントな要素も加えたくなった」というような要望の変化はよくあります。その際、設計事務所の得意分野が限定的だと対応が難しい場合があるため、希望が固まっていない段階ではデザインの幅が広い設計事務所を選ぶことが最適です。
当社、アーネストアーキテクツは多彩なデザインを得意とする設計事務所です。設計事例は下記からご覧ください。
費用が高い傾向にある点を理解しておく
設計事務所へ依頼する場合、費用は事務所ごとに異なりますが、一般的には工事請負代金のおおよそ10%前後が設計費として必要になります。さらに、工事監理も依頼する場合は、監理費として3%前後が加算されます。費用だけを単体で比較すると割高に見えがちですが、重要なのは設計費だけで判断せず、建築費と合わせた“総額”で比較することです。設計の工夫によって無駄なコストを削減できたり、複数の施工会社へ見積もりを取り適正価格で契約できるなど、結果としてコストバランスが整うケースも多くあります。
また、費用面に不安を感じる場合は、早い段階から設計者とコストについて共有しながら進めることが欠かせません。建築家は、予算に合わせて素材・構造・設備の優先順位を整理したり、コストを抑えつつデザイン性を損なわない代替案を提案することができます。設計事務所だからこそ実現できる“こだわり”と“コストの最適化”を両立させるためには、オープンなコミュニケーションが重要です。
完成まで時間がかかりやすい
設計事務所の注文住宅は、空間をゼロから組み立てる完全オーダーメイド型の家づくりであるため、打ち合わせ・検討・図面化に時間がかかる傾向があります。デザイン性の高さや細部へのこだわりが魅力である一方、短期間で家を建てたい人には不向きな側面があります。特に、設計段階だけでも数ヶ月~1年程度を要するケースが多く、完成までのプロセスそのものを「楽しめるかどうか」が大きなポイントになります。
また、設計事務所との家づくりは打ち合わせ回数が多く、住まい手の時間と労力も必要です。生活動線や暮らし方を丁寧にヒアリングし、理想をかたちに落とし込むため、細部まで一緒に検討するプロセスが欠かせません。夫婦や家族間で意見がまとまっていない場合、打ち合わせが長引くこともあります。
さらに、設計事務所の住宅は細部の納まりや素材選定にもこだわるため、施工そのものに時間を要する傾向があります。一般的な規格住宅に比べて施工の自由度が高く、その分職人の手仕事が多くなるため、工期が長めになることが特徴です。
施工会社選びが重要
設計事務所に依頼する場合、設計と施工を別々の組織が担当する設計施工分離方式となるため、施工会社の選定が非常に重要になります。どれだけ優れた設計図があっても、施工会社の技術レベルや現場管理力が不足していると、仕上がりの精度や品質に大きな差が生まれます。特に、設計事務所が手がける住宅はディテールや素材の扱いに繊細な技術が求められるため、施工会社の実力がそのまま完成度に直結します。下記の点に注意して、慎重に検討しましょう。
- 設計事務所が信頼する工務店を推薦してもらう
- 建築家がこれまでの経験から信頼している施工会社は、設計意図を理解しやすく、仕上がりの質が安定しやすい傾向があります。
- 過去の施工実績や現場を見学して確認する
- 施工事例の仕上がりや、現場の整理整頓・職人の動きなどは、技術力を判断する重要な材料になります。
- 複数社に見積を依頼し、技術力のヒアリングを行う
- 費用だけでなく、納まりへの理解度、施工方法の説明力なども比較することで、適正な施工会社を選びやすくなります。
- 倒産リスクや経営状況を事前に調査する
- 工事途中のトラブルを避けるためにも、経営基盤の安定性を確認しておくことが大切です。
アーネストアーキテクツが手掛けた注文住宅の設計事例
建築設計事務所のアーネストアーキテクツは、多彩な要望に応える設計力と、土地の個性を生かす独創的な発想で、多くの注文住宅を手掛けています。ここでは、アーネストアーキテクツの施工事例をいくつかご紹介します。
心惹かれる家
高低差のある敷地を生かした住宅で、西側の道路とつながるガレージやエントランスが地下1階に当たり、南側の庭につながるLDKが1階に位置する設計です。外観デザインというと閉塞感や威圧感を与えがちですが、曲線を描く外構と繊細な門扉で柔らかな印象を与えています。
ゲストをゆったりと出迎えるアプローチ、3層を貫くらせん階段のあるエントランスを通ってたどり着くリビングは、2層吹き抜けの明るく開放的な空間。動線にストーリー性を持たせることで、感動を与えられるような演出が可能です。帰宅した家族を迎える演出でもあり、いつでも優しく家族を包み込み、心休まるくつろぎの空間となるようにデザインされています。
変形地に建つ光の家
変形地であることを感じさせない、開放感あふれる住宅です。南側の角地に隣家が建っており、南側の一部と東側に接道するT字のような変形地に住宅を建てました。
土地の形状を生かし、南側はエントランスを設け、東側はガレージを設けて車からアクセスできる、人と車の往来を分けた設計に。エントランスは細長い間取りであるものの、装飾を最小限に抑えて2層吹き抜けの空間にしたことで、伸びやかな印象になりました。1階はエントランスとガレージ、2階は広々としたLDK、3階は家族の居室を配置し、フロアごとに用途を明確に分けました。その結果、生活動線が整理された快適な居住空間を実現しています。
モダンクラシカルな住まい
シンメトリーにこだわった、クラシカルで気品あふれる外観の住宅です。1階には全長15mの屋内プールと、70畳ある吹き抜けのリビングダイニングやキッチンが、中庭を囲むように配置されています。リビングダイニングは全面開口の対面を鏡張りにすることで、庭の景色をどこからでも堪能できます。
中2階はお子さまの居室と家族の衣類をまとめた広いファミリークローゼットがあり、ファミリークローゼットに面してランドリールームや脱衣室などがあり、生活動線にも配慮した間取りです。2階には主寝室と、専用の水回り、ホームジムを完備しました。
外観は明るくエレガント調に、内装は落ち着いたモダンテイストにして、内と外との対比を楽しめます。
自分らしい注文住宅なら設計事務所という選択
理想の注文住宅を「自分らしい住まい」として形にしたいなら、設計事務所という選択肢は非常に大きな価値を持ちます。建築家は、住まい手の暮らし方や美意識を丁寧に読み取り、土地の特徴、光や風の流れ、素材の質感まで総合的に考えながら、一邸ごとの最適解を導き出します。既成プランでは実現できない自由度の高さこそ、設計事務所が手がける注文住宅の魅力です。
また、構造・性能・コストバランスまで含め、トータルにデザインできる点も大きな強みです。工事監理による品質確保、土地や生活スタイルに合わせた構造の選択、将来の資産価値にもつながるデザイン性など、設計事務所ならではのメリットは決して小さくありません。
建築設計事務所のアーネストアーキテクツは住まい手の価値観や理想のライフスタイルを的確に汲み取り、大胆な発想と緻密な設計力を兼ね備えた、唯一無二の一邸を創出します。
プランナー、建築家、インテリアコーディネーター、設計監理者といった各分野のプロフェッショナルが在籍し、チームとなって住まいをつくり上げます。外観からインテリア、細部の造作に至るまで徹底したこだわりが、私たちの大きな強みです。
また、CGや3D動画を駆使し、図面だけでは分かりにくい空間を可視化。完成後の暮らしを鮮明に描きながら、安心して計画を進められます。
理想の住まいを追求したい方は、ぜひアーネストアーキテクツにご相談ください。カタログ請求や建築のご相談、ショールームのご見学も随時承っております。