第二回│ライフスタイルの移り変わり
2015.12.6
インテリア
保科卓
arflex japan
「ライフスタイルの移り変わり」
アルフレックスジャパンが設立された当初の1970 年代は、高度成長期にありながら日本の住まいは「ウサギ小屋」と揶揄されていました。「住」だけが時代の変化に取り残される中、当社は日本のタンスや卓袱台から発展した家具ではなく、合理的で快適に暮らすためのソファやチェアというイタリアの合理性から学んだ、いわば生粋の「モダン・ライフ」を提言していきました。
当時行った一番の改革は「リビングルーム」にソファを置いたこと。ソファを家族の中心において、日本のモダンライフスタイルがスタートしたのはこのころからでした。今見るとほのぼのしていますが、当時は最先端のモダンスタイルだったと思います。
70年台の代表的ソファといえば、現在も愛され続けるマレンコ。イタリアの巨匠マリオ・マレンコが、一瞬のうちに描いたスケッチから生まれたと言われています。日本での販売に合わせカバーを取り替えることができるカバーリングシステムを開発。「着たり、脱いだり、洗ったり」をキャッチフレーズにした、このカバーリング仕様は後にイタリアにも逆輸出されました。
1986 年には、日本のライフスタイル研究の証として現在にいたるロングセラー「A・SOFA」が誕生。柔らかめの座り心地、シンプルな内装にマッチするデザイン。そして今もアルフレックスの根底に息づく「長く快適に使う」ための仕組みと構造を実現しました。シートやシートバック、クッションの色がそれぞれ自由に組み合わせ可能な「A・SOFA」はインテリアに合わせて自在にコーディネートが楽しめ、80 年代にスタートしたインテリアコーディネーター資格制度にも後押しされて、多くのモデルルームや住宅展示場でも使用される人気商品となりました。「A・SOFA」は現在もソファのベスト3に入る人気のソファです。メンテナンスの依頼が最も多いモデルの1つで、メンテンナンスをしながら、親から子ども世代へ受け継がれ、なお愛され続けています。
1987 年にはカーサミア河口湖がオープン。アルフレックスが考えるモダンなライフスタイルを体感していただくためのモデルハウスです。家具単体ではなく、住空間全体のトータルコーディネートを提案するようになりました。
トータルコーディネートの始まりは、1990 年代から。
1997 年、現在の恵比寿プライムスクエアにショップを移転しました。リビングやダイニングを想定した空間全体のディスプレイを展開し、モノではなく豊かな生活を提案するという想いが東京でも実現しました。ライフスタイルショップとして一歩前進します。このショップに移転してから間もなく20 年。来年にはリニューアルを予定しています。
2000年代は、リラックスの象徴 シェーズロングの台頭。
2000年代に入ると、オットマンを置くのではなく、足を伸ばして座るシェーズロングとよばれるソファが、よりリラックスできるスタイルとして定着していきました。ワールドカップが日本開催され、薄型の大型テレビやホームシアターの普及ともあいまって、家族みんなで囲む大型のリビングスタイルに。リラックスタイプのソファは一時代を築きました。
2010 年代は、拡張型リビングの発想。
時代の移りかわりとともにリビングで過ごすスタイルも変化してきています。デジタルディバイスの普及は、それまでのテレビを中心としたスタイルから、個々の快適な居場所となる形へとリビング空間に変化をもたらしました。部屋の端に配置することが多かったソファを部屋の中央に配置し、コンソールテーブルやスツールなどを上手く利用すると、ソファの内側だけでなく外側にと広がるリビングスペースができます。また、家族がリビングに集いながらも個々に好きなことをして過ごすことが増えたため、レイアウトも自由なシステムソファが使いやすいでしょう。こうしたソファが私たちの過ごし方をも変えていきます。
そして、2015 年は、マルチプルスタイルの提案。
拡張型と並び、現在最も新しい提案は異なる素材、色、形、時代、ブランドなどをミックスさせるスタイルです。アルフレックスジャパンではメインブランドのアルフレックスの他に、5 つのイタリア輸入ブランドを取り扱いしています。どのブランドもアルフレックス製品と大変相性が良く、アルフレックスの直営店では6 つのブランドをミックスさせた空間提案を行っています。是非コーディネートの参考にしていただけたらと思います。
時代とともに変化してきたアルフレックスの製品とライフスタイルの提案。私が実質的な会社経営を任されるようになったのは2000年代後半以降になりますが、人々の感度は高まる一方で、近年ではより高品質、本物志向の製品が求められる時代になってきたと感じています。
アルフレックス提案スタイルの変化
http://www.arflex.co.jp/about/story/
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次回は、アルフレックスジャパンが取り扱う5 つの輸入ブランドについてご紹介します。