2015.4.19

インテリア

マルコ・ムリロ

EURO CASA

「トゥーリ社の魅力」

イタリアはミラノ近郊のコモ地方、カルーゴ地区にトゥーリ社の工場とショールームがあります。古くから家具メーカーが集積するこの地区で1925年に創業したトゥーリ社の魅力は「トゥーリ・デコレーション」と呼ばれる独特の塗装仕上げ。今回はその製作現場を中心にお伝えします。

「トゥーリ・デコレーション」は、大理石やブライヤの模様にインスピレーションを得た美しいペイントを施し、その表面にクリア塗装を重ねています。複雑な模様が幾層にも重なった奥行きのあるペイント部分は全て手作業によるもので、塗って、乾かして、磨いて、重ねて塗って……という作業を7回以上繰り返すため、塗装工程だけで一月かかる大変手の込んだもの。

代表的なエフェクトのひとつ。独特の奥行き感があります。
ペイントの初期段階。さらにペイントを重ねてより奥行き感のあるエフェクトに仕上げます。

職人によって塗料の拡散具合や強弱の差がでるため、ひとつのオーダーに関わる塗装工程は全て1人の職人が担当します。完成品がどの角度から見ても美しく、またその模様に連続感をもたせるため、例えばキャビネットであれば扉の向き、順番なども考慮してペイントします。7度目の塗装を終えると、ひとつひとつ独特でエクスクルーシブなエフェクトに仕上がります。機械やプリント技術を用いて似たようなエフェクトを施した家具メーカーはたくさんありますが、このように手作業で塗装を重ねたトゥーリの仕上げは風格が全く異なります。

塗装ブースで扉パネルに塗装を施しているところ。職人ごとに塗装ブースがわかれています。

ペイント工程の後、その表面にクリア塗装を施します。先ほどの手作業の塗装工程とは打って変わって、ここからは最新鋭の巨大な塗装室、オーブン、研磨装置を駆使。表面に均一な塗膜をはって透明感のある鏡面に仕上げます。厳しいチェックを経て、キズや歪みが見つかれば手作業で研磨をします。こうして奥行き感のある7層の塗装 + 透き通るクリアコーティングを重ね、完成品の表面は美しく、世界にひとつだけの模様をまとったエクスクルーシブなものに。

塗装室でポリエスティルのクリア塗装を施します。
大きな研磨機で均一な面に仕上げます。
小口部分やディテールは手作業で研磨。特にクラシック家具は曲面が多く大変です。

塗装行程を終え、お隣の工場で生地やレザー張りを施した上で、モデルごとに組み立て行程に。オーダーに応じて組み立てブースを設け、装飾を施して行きます。トゥーリの家具にはクラシックとコンテンポラリーなラインとあり、シリーズごとのデザインや装飾によって雰囲気はがらりと変わります。トゥーリ・デコレーションの仕上げエフェクトも様々ですが、どちらのシリーズも塗装の工程は全く同様です。創業来、一連の手作業でのペイント方法をブランドのアイデンティティとして大切にしています。

Coutureシリーズのチェストを組み立てているところ。
組み立て最終段階のOrionシリーズのサイドボード。レザーやメタルをまとい、ペイント面がより引き立ちます。

只今イタリアのミラノでこのブログを執筆しているのですが、こちらは年に一度の家具の見本市、ミラノサローネ期間中です。これにあわせて15日、TURRIの新ショールームのオープニングセレモニーに参加してきました。場所は高級ブティックが軒を連ねるモンテナポレオーネ地区で、お買い物のついでに気軽にトゥーリの世界観を体感できるラウンジ空間になっています。イタリアへお越しの際には是非お立寄りください。ちなみにすぐ隣は同じくEURO CASAが代理店をつとめる、VERSACE HOMEのショールームです!
TURRI社も、EURO CASAはこの度日本での専属代理店として新たなパートナー協定を結びました。初秋には新作も続々入荷予定です。お楽しみに。

モンテナポレオーネ地区にOPENしたTURRIのショールーム。
入荷予定の新作のひとつ、Orionシリーズドレッサー。


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