2019.10.28

こだわり

小泉裕

IDEAL TOKYO

ホームエンターテイメントにおける音楽・映像コンテンツ

今週より4回にわたりブログを担当させていただきます、IDEAL TOKYOの小泉と申します。
IDEAL TOKYOはオーディオやホームシアターなど「ホームエンターテイメント」を通じて心地よい音楽や美しい映像がある生活をデザインする会社です。

「ホームエンターテイメント」は単に音楽・映像作品を芸術として愛でるだけでなく、未知の作品や懐かしい作品に触れることで自分の中にある新しい感性を気付かせてくれます。
楽しみ方はさまざま。音楽や映像作品と対峙しながら、その世界に浸るもよし、「~しながら」聴きのように生活のバックグラウンドに取り入れることで日々過ごす時間をより豊かにするもよし、それらを一人で、または誰かと共有することで過ごす時間を有意義なものにしてくれる、私たちの生活にとって欠かせないものです。

趣味やアクティビティが多様化し、一昔前と違い「豊かさ」にもさまざまな形がありますが、ときには携帯の電源を落として日常から切り離された時間の中で音楽鑑賞や映画鑑賞を楽しめる心の余裕も一つの「豊かさ」ではないかと思います。

そんな私が考える「住宅におけるホームエンターテイメント」について、4回にわたりご紹介してまいります。

①音楽・映像コンテンツ
②インテリアにおけるホームエンターテイメント
③事例紹介
④ショールームのご案内

今回はホームエンターテイメントの素とも言える音楽・映像コンテンツの変遷を少しだけお話していきたいと思います。

私たちが日頃、耳にしている音楽のルーツは遥か紀元前4000年頃まで遡ると言われていますが、近代音楽が確立された頃に目を向けてみると、4世紀頃にキリスト教聖歌としてグレゴリオ聖歌など多声音楽の誕生により中世西洋音楽が始まったとされ、15世紀にはルネサンス音楽が、16世紀にはオペラが誕生し、これらの宮廷音楽がヨーロッパ各地で繁栄を遂げ、今日のクラシック音楽や歌劇へと発展していったと言われています。

日本においても10世紀頃(平安時代)にはすでに雅楽が確立され、音楽文化は長い年月を経て世界各地で発展しながら、現代人はその恵みを享受しているわけですが、私たちが毎日のように使いこなしている音楽や映像の記録・再生装置(オーディオ&ビジュアルシステム)が誕生する20世紀前半までの数千年もの間、音楽や歌劇は「その日その場で聴いたら/観劇したら終わり」というものでした。19世紀後半まで音楽や映像を記録・再生する術がなかったためです。

19世紀後半から20世紀前半にかけて、エジソン(米)やリュミエール兄弟(仏)など世界各地の発明家により音楽、映像の記録・再生装置(オーディオ&ビジュアルシステム)とパッケージメディア(※SP盤、LP盤、CD、DVDなど)が世に送り出されました。

※SP:Standard Playing (蓄音機用の記録盤、LP盤の前身)
※LP:Long Playing (一般に知られるレコード盤)

エジソンとフォノグラフ(蝋管再生機)1870年代
リュミエール兄弟
リュミエール兄弟が開発したシネマトグラフ(複合映写機)
1890年代

ルネサンスからバロック時代など当時の音楽鑑賞や観劇というものは一部のブルジョアたちが自邸やオペラハウスで楽しむことが多かったのですが、パッケージメディアの登場により、広く一般の人々の耳に触れたことで音楽や歌劇などの芸術性を広く認知させることとなり、世界中で音楽・歌劇ファンの存在が確立されるようになります。

ラジヴィウ公の邸宅でピアノを弾くショパンとリスト 1830年代
フリードリヒ大王のフルートコンサート 1852年
ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会 1897年

LPやCD、DVDなどパッケージメディアの登場によって、場所を変えても音楽や映像を楽しめるようになり、そして何度でも繰り返し鑑賞できるようになった反面、どれだけ豪華な再生装置があってもレコード一枚、CD・DVD一枚なければ音も映像も出ない「金属の塊」がこれまでのオーディオ&ビジュアルシステムでもありました。

ところが、インターネットの登場によりこの状況が一変します。

現在ではインターネット環境を活用して、音楽や映像は「メディアを所有する時代」から「ダウンロードする時代」へと変わりつつあり、オーディオ&ビジュアルシステムを導入したその日から膨大な数の音楽・映像コレクションを楽しめるようになりました。言い換えればこれまでのように数百枚、数千枚にもおよぶCDソフトやレコード盤などパッケージソフトの保管場所を用意する必要もなくなったのです。CDやレコードなどを再生するプレーヤーも不要になってきたことでシステムを構成するハードウェアも簡素化され、今まで以上にインテリアとの親和性を求めやすくなりました。

音楽が誕生してから数千年におよぶ音楽・歌劇史の中で例えると、長らく「聴いたら/観たら終わり」という時代が続いていたところに、つい100年ほど前に音楽や映像を記録・再生して何度も楽しむことが実現し、さらには記録媒体すら必要とせずに世界中どこにいても好きな時に好きなだけ音楽・映像芸術に触れることが出来る、とてもラッキーな時代に私たちは生きていることになります。

この恵まれた時代を楽しまない手はありません。皆さまには最新のインフラを大いに活用して、かつて体験したことのない音楽・映像世界をぜひ楽しんでいただきたいと思います。世界には皆さんがまだまだ知らない音楽芸術や映像世界がたくさん在ります。

ホームエンターテイメントのコアとも言える音楽・映像コンテンツの変遷を簡単ではございますがご紹介いたしました。

次回はインテリアにおけるホームエンターテイメントの在り方をご紹介したいと思います。


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