2018年10月アーカイブ

誂える喜び


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サヴィル ロウの街角


ロンドンの中心地、リージェントストリートから一本入ったところにあるSavile Row(サヴィル ロウ)という通りには高級服の仕立て屋さんが建ち並びます。「背広」の語源が「サヴィル ロウ」ではないかという説は有名な話です。ひょっとしたらこのコラムを読んでくださっている皆さまの中にも、ロンドンまでスーツを誂えに通われる方もいらっしゃるかもしれませんね。 
女性もお洋服、ジュエリー、靴やバッグなどを、ご自分のお好みで誂えられる方も多いと思います。私も婚約指輪、結婚指輪を自分でデザインし、宝石以外のあれやこれやもオリジナルを作っていただいては、自分のお気に入りを長年愛用しています。勿論、『選ぶ楽しみ』の誘惑とも日々格闘し通しですが(笑)。今回は、そんな『誂える喜び』についてお話しさせていただきます。


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鋲とパイピングのサンプル
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誂えることのよさとはなんでしょう?


・自分の好きな素材や色で作ることができる。
・ぴったりと自分のサイズに合ったものを作ることができる。
・自分に必要な機能が組み込める。
・世界に一つのオリジナリティという付加価値。


といったところでしょうか。実はこれら、インテリアに関して同じことが望めるのです。


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スチールの塗装サンプル(トム フォルクナー)


例えば、弊社で取り扱っております家具4ブランドの商品は、どれも標準仕様がありません。
アームチェアを一脚注文するとしたら、まずモデルを決め、脚やフレームの木部の色と張地を決め、鋲にするのかパイピングにするのか、またその色はどうするのか、座面の高さは丁度よいか...どれもお客様に一つひとつ選んでいただき誂えます。


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見た目の観点からお話しすると、フレームと張地の色柄の組み合わせ次第で、可愛らしくもシックにも全く違う姿に仕上げることが可能です。上の三つのチェア、同じモデルの仕様が異なるものです。ね、随分と雰囲気が違いますでしょ?


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シンプルなグレーのウール地張りのチェア


椅子の張地を選ぶのは、服地を選ぶのと似ているように思います。服地と言えば、ファッション界において高級カシミアとして名高いロロピアーナのウールやリネン、カシミアといった素材のインテリアファブリックがあるのをご存知でしょうか。カーテンは勿論のこと、椅子の張り地やラグ、ひざ掛けなどその用途は様々です。実際に弊社サロンにございますモワソニエのチェアのうち一脚は、ロロピアーナのウール地で張り込んでいます。今年の冬はコートの代わりに心地よい贅沢な張地のチェアを...というのも素敵ですね。


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左/鋲仕上げ、右/ダブルパイピング仕上げ


鋲やパイピングを選ぶのは、洋服に合わせるアクセサリーやバッグの金具を選ぶのに似ています。フレームの色は他の家具の色味や床材との兼ね合いで決めることが多いかと思います。椅子のフレームと張地の境目にパイピングを入れる? 鋲を打つ? 色は? 大きさは? こうしてお客様ご自身のオリジナルにとことんこだわった"お気に入り"を作ることが可能なのです。


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ちなみに、モワソニエのキャビネットは、お客様のご希望通りにペイントを施すことができます。上の写真は過去の制作例です。迫力満点のオリジナリティ。皆様ならどんなペイントになさいますか?


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カプリコーンダイニングテーブル(トム フォルクナー)


サイズというポイントからお話ししますと、私たちインテリアデザイナーは部屋の構造、動線や使い勝手などを考慮したうえで、ベストな家具のサイズを割り出します。その際、同じテーブルにS/M/L のサイズ展開があったとしても、どれも理想のサイズに当てはまらないということがあります。そんな時にサイズ変更が可能だと、使いやすく美しい空間が作れます。例えばトム フォルクナー社はサイズ調整がとてもフレキシブルで、天板のサイズは勿論のこと、上の写真の様な曲線のデザインの脚でも高さの変更が可能です。身体を委ねるテーブルや椅子は、体格にも大きく関わってきますので、高さもとても重要なポイントなのです。


また、機能的な視点からですと、コンソールテーブルの下段の棚をロボット掃除機が通る高さにして欲しい、というリクエストを承った事例もございます。
ご自身のライフスタイルや動線などを把握して「ここにこれがあったら便利だな」「ここがこんな風に使えたら快適かも」といった、住まい方のカスタマイズができるのも、誂えるからこその喜びですね。


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家具一つで、どれほどのクリエイティヴィティとオリジナリティをお楽しみいただけるのかをお伝えできましたら幸いです。
実はこちらの美しい手描きの壁紙も...このお話は次回、壁についてのお話で触れたいと思います。




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暖炉の秘密


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"暖炉とは威厳をもたらし、人の集まる家の中心である。特に我らのこのイギリスでは。"
弊社取り扱いブランドの一つ、英国最大手の暖炉メーカー『チェズニー』のロンドンショールームの壁に書かれている言葉です。


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ウィンザーにて家族で語らう時間


家族が集い、ぱちぱちと燃える炎と火の粉踊る暖炉のあるリビング、誰もが一度は憧れるのではないでしょうか。憧れはするものの、暖炉のない我が家ではその昔、夫がアマゾンUSから暖炉で薪の燃える映像が延々と流れるDVDを取り寄せ、寒い時期のホームパーティーの度にTV画面で薪を焚いていました(笑)。


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パリのとあるお宅にて


暖炉、fire placeというのは、外側内側全体を差して呼びます。弊社が取り扱いますのは「マントルピース」「ファイヤーサラウンディングス」と呼ばれる、壁の外につく大理石製の棚のような部分です。


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点線の部分が『マントルピース』と呼ばれる部分
(The Madisonモデル / Chesney's)


壁の中は煙突になっており、薪は煙突の真下で焚くので、マントルピースは炉の外側につく飾りの役割となります。暖炉自体が古来の暖房設備ですから、マントルピースもクラシックなデザインのものが多いのですが、最近では、現代のインテリアにもマッチするコンテンポラリーですっきりとしたデザインのものも様々に登場しています。


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(The Clandon Bolection frameモデル / Chesney's)


そんな憧れの暖炉ですが、実は現在、ロンドンもパリも市内では環境問題から暖炉で薪を燃やすことが禁止されています。ではどうするのか? 今まで薪をくべていた場所に、厳しい排煙規格をクリアした薪ストーブやガスストーブを設置するのです(もっとも都市部ではセントラルヒーティングが主暖房ですので、近年は暖炉というのは視覚的、補助的な暖房なのかもしれません)。そして最近は、日本でも人気のエタノール暖炉や、疑似炎の電気ストーブなども加わりました。


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暖炉内にストーブを設置した例
(The Devonshireモデル / Chesney's) 




さて、ここからは暖房設備としてではなく、インテリアにおけるいちエレメントとしての暖炉についても触れたいと思います。なぜ暖炉のある風景は格好良いのか? これから3枚の暖炉のある風景をお見せしますので、共通点を探してみてください。


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お気づきになりましたか? アートがあるから? 暖炉自体が格好良いから? それもそうなのですが、ここで重要なのは「シメトリー(左右対称)」というポイントです。西洋のインテリアのプロポーションはシメトリーであることがとても大切で、そこに留意すると空間がとても心地よく収まります。対して日本のインテリアのプロポーションはどうでしょう。和室を思い描いてみてください。床の間、床脇、書院など、アンシメトリー(左右非対称)が多く見られます。これはお花にも同じことが言えますね。


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(画像をクリックすると大きくなります)


シメトリーには安定感を与え、空間を落ち着かせる作用があります。因みに弊社のサロン ドゥ ファヴォリのインテリアも、シメトリーを強く意識してデザインしました。小さなスペースに様々な要素を盛り込んでいるにも拘らず、お客様から「とても落ち着く空間ですね」と、おっしゃっていただけるのはその為だと思います。
洋風のインテリアを格好良く決めたい、そう思われたらソファのクッションを左右対称に置いてみてください。チェストの両端にランプを2台置いてみてください。シメトリーは小さなことから始められるのです。


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オリエンタルミックスのシメトリーインテリア




さて、暖炉のお話に戻ります。"我が家にもこの冬までに暖炉を設置したい"と思ったら、いつ頃準備を始めればいいでしょうか。10月頃? いいえ、実は7~8月の真夏のご相談がベストタイミングなのです。新築でない限り、暖炉の設置には、床と壁の補強工事が必要となります。また、暖炉本体を取り寄せる納期もかかります。7~8月で補強工事やインテリア内装工事の計画とマントルピースのモデルの決定、9月上旬に発注、本国在庫品であれば11月中には設置工事が可能、という流れです。"我が家にも暖炉を"とお考えくださるお客様はお早めにご相談くださいませ。


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弊社サロンには、フレンチスタイルとコンテンポラリースタイルの2台のマントルピースを展示しており、そのうち1台は、エタノール暖炉のエコスマートファイヤーを組み合わせております。寒くなりましたら、火を灯してお客様をお迎えするつもりです。是非、暖炉の心地よさを体感しにお立ち寄りください。マシュマロをご用意してお待ち致しております。




Chesney's:
http://favori-intl.com/chesneys/




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『お気に入り』の魔法


はじめまして。今回から連載をさせていただきます、ファヴォリインターナショナル株式会社の石黒久美子です。


FAVORI(ファヴォリ)とは、フランス語で『お気に入り』という意味です。家が美しく、ひとつ一つに思い出やストーリーが詰まった "お気に入り" たちで満たされた場所でありますように・・・という夢と願いを込めております。 


そんな社名を持つ弊社は、インテリアデザインオフィス「アトリエ ファヴォリ」からスタートし、今年7月新たにイギリス・フランスのインテリアアイテムを取り扱う完全予約制サロン「サロン ドゥ ファヴォリ」をオープン致しました。今回は、私とインテリアの世界との出会いから「サロン ドゥ ファヴォリ」オープンへの経緯、インテリアと幸福感のお話をさせていただこうと思います。


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「サロン ドゥ ファヴォリ」店内




インテリアデザインとの出会いは、私がまだ専業主婦の頃でした。当時、夫の仕事の都合でシンガポールで生活しており、知り合った欧米人の友人たちの美しく設えた広大な家と、豊かなライフスタイルに大きな刺激を受けました。もともとインテリアに興味もあり、インテリアデザインを学んでみたいと考えるようになるのに時間は掛かりませんでした。そこで2005年、ロンドンのアートカレッジに通い、本帰国後には資格を取得。インテリアの仕事をしながら関連分野の様々な勉強を続けました。


2013年にはイギリスのインテリアデザインのディプロマを取得し、ハイエンドインテリアのプロ向けの見本市 『Decorex(デコレックス)』にも毎年欠かさず通うようになりました。また2015年には英国インテリアデザイン協会の正会員となり、世界で活躍する先輩インテリアデザイナーのレベルの高い仕事や、その取り組み方から大きな刺激と学びをいただき続けています。


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『デコレックス』2018会場風景




ところで皆さん、イギリスのインテリアと聞くと想像されるのが、飴色のオークやマホガニーの家具、焦げ茶色のレザーにボタン留めのソファなど重厚なイメージのものではないでしょうか。 私も大好きな伝統的なスタイルですが、そうばかりではないのです。 


私がデコレックスやインテリアのショールームが集まるロンドンのチェルシー地区で出会ったのは、伝統的な要素を含みつつ、コンテンポラリーですっきりとしたデザインでありながら、とてもエレガントで「洗練」という言葉のよく似合う家具や照明器具でした。


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トム フォルクナー イメージ写真


時を重ねて、「いつかきっと・・・」と恋心を抱いていたそれらの家具や暖炉を、一つ二つと自分のインテリアデザインのプロジェクトにお納めできるようになりました。私が恋した商品をお客様にも気に入っていただき、実際にお使いいただける喜びはひとしおです。


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昨年末竣工したお宅のリビングダイニング。お客様のご希望でロンドン・パリのショールームへご一緒し、手前のアクリルチェア以外の置き家具は、全て取り寄せました。


そうするうち、「世界には、こんなにも沢山の素敵なものがあるのだから、もっと多くの人に知っていただきたい、使っていただきたい」という思いが日に日に増し、輸入事業の展開を考えるようになりました。これが「サロン ドゥ ファヴォリ」をオープンするに至った経緯です。




さて、ここで少し、私が恋に落ち、作り手たちと通じ合い、実際に「サロン ドゥ ファヴォリ」で取り扱うこととなったブランドをいくつか紹介させてください。


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トム フォルクナー:金属と異素材を組み合わせたアーティスティックなMade in U.K. ファニチャー。エレガントかつ男性的、洗練された斬新なデザインはどんなスタイルにも調和します。



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キュリオーサ&キュリオーサ:British madeの手吹きガラスの照明ブランド。豊富なカラーバリエーションと個性的なシェイプが魅力。点灯してもしなくても美しい透明感と存在感です。



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モワソニエ:1885年創業。伝統とアヴァンギャルドを併せ持つフレンチブランド。大胆で革新的、ファンタジーに満ちたデザインは、まさにフレンチラグジュアリーの真骨頂。


見慣れないテイストのものばかりかもしれませんが、どれもクラフトマンシップを感じられるアーティスティックなデザインで、凛とした存在感を放ちます。これらは『Functional Art(機能を持ったアート)』とも表現できるのではと考えます。インテリアの主役として、またアクセントとしても使用することができ、人気のイタリアンモダンともとても相性がよいと思います。




ところで、日本は『住/インテリア』にかける消費が少ないのをご存知でしょうか。その分野の消費指数が英国の約1/3といわれています。『衣』と『食』 バッグ、時計、レストランでのディナーのお値段と日常的にインテリアに費やす金額を比べてみてください。ね、思い当たりますでしょう。


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私は、豊かなインテリアは生活の質全体を上げ、幸福度を上げると信じています。家がお気に入りで満たされれば、そこは世界中のどこよりも強力なパワースポットになると考えているからです。


次回からは、具体的な写真やヒントとともに、インテリアを通して毎日の暮らしをより豊かにする方法をお伝えいたします。




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