「アーネストコラム洒洒落落」医療法人社団菅沼会 腎内科クリニック世田谷 院長・理事長 菅沼信也さん 第三回「眠っている間、楽に長時間行えるオーバーナイト透析」

眠っている間、楽に長時間行えるオーバーナイト透析


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当院では主に日中仕事をされている方に向けて夜間にも透析を行っています。夜間の透析は、毎週月・水・金の16時から22時過ぎまで行う準夜透析と、金曜日夜22時から土曜日朝7時まで行う無風の放射冷暖房システム採用により、空調による不快感を無くし、体動の少ない安眠のご提供を目指した深夜透析(オーバーナイト透析)の2つのコースを設けています。


準夜透析は、1回の治療時間は通常と同様約4~6時間ですが、オーバーナイト透析は、深夜帯の睡眠時間を利用して行う長時間透析です。8時間透析ですが、夜間の就寝中行うため、十分な透析を無理なく行うことができます。身体に蓄積された尿毒素や水分を、ゆっくりと時間をかけながら除去するためお身体への負担が少なく、血圧の安定やお薬の減量、貧血の改善が期待できる透析方法です。
これまで仕事との両立で苦労されていた方や、もっと日中の時間を活用したい方、負担のない長時間の透析を希望されている方にとって、とても有意義なQOL(quality of life)の高い透析です。睡眠中の時間を活用するので体感時間が短く、ベッドに拘束されるストレスが軽減されることも利点です。開始時間も遅いため、仕事を定時まで行い夕食や入浴を済ませてから来院することも可能です。


週末に行っていますので、通常であれば透析と透析の間が丸2日間空いてしまうところを1.5日空きに短縮できることにより、尿毒素や水分の蓄積をその分抑えることもできます。就労や学業などで社会復帰をめざしたい方、長時間の透析をする利点を理解されていても日中は時間が取れない方などにお勧めですね。


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(画像をクリックすると大きくなります)


オーバーナイト透析を始める際は、長時間実施することで回路内の血液が固まる場合が稀にあるので、事前に長時間の8時間透析を日中一度行ってみて、血液凝固の程度を確かめておく必要がありますが、大抵はスムーズに移行できます。一方で、重篤な合併症のある方や高齢で認知症のある方は急変のリスクを考えると難しいですね。当院のベッドのマットレスは、かため、やわらかめ両方を使い分けができるリバーシブルタイプで、オーバーナイト透析が中止になるケースは少ないのですが、患者様が透析中にどうしても寝られないケースが時としてありますね。そうでなければ問題なく行えるでしょう。


リスクもあります。一番はやはり寝返りなどにより針が腕から抜けてしまうこと(抜針)です。そこで安全対策として、寝返りをしても抜針を起こさないよう、回路を腕にテープでのループ(α)固定を含むしっかりとした固定を行い、漏血センサーを取り付けています。ループ(α)固定を導入することで当院での抜針事故が激減したことを当院看護師長が、オーバーナイト透析開始以前の2016年に大阪で開催された第61回日本透析医学会学術集会・総会にて、報告(小山 千代美,菅沼 信也:アクシデントレポートからみた当院の傾向と対策  抜針事故予防策の推移.日本透析医学会雑誌49巻Suppl.1 P699, 2016)しております。センサーが漏血を感知するとアラームが鳴りますので、すぐにスタッフが対応します。
透析中に血圧が低下することもありますので、就寝中安眠を妨げる血圧測定の代わりに、循環する血液量のモニタリングも行っています。当直の医師、看護師、臨床工学技士が必ず院内に常駐し、室内消灯後も赤外線暗視カメラで見守っています。


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循環血液量モニタ(BVM:BV計)により血圧の低下が予測出来ます。


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抜針対策:テープをループ(α)固定にし、鉗子やテープで回路を肩に止め漏血センサーを設置。


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天井に設置した赤外線暗視カメラ:暗室内でも患者様の様子が分かります。


(オーバーナイト透析につきましては、当院ウェブサイトに詳しく載せていますのでご覧ください。)https://www.jinnaika.com/over-night-dialysis/over-night


オーバーナイト透析は、昨年より開始しました。構想はそれ以前から持っていましたが、スタッフの確保や設備に関する課題も多く、踏み切れないでいました。しかし、ある当院常勤看護師から「先生、やりましょう!」という言葉があったので、踏み出すことができました。スタッフはじめ多くの皆様のご協力の下、BV計内臓の個人用透析装置導入も行い、課題を一つ一つクリアし、奇しくも私の誕生日の日であった2017年4月21日金曜日から私の夢でもあった、全国4000以上ある透析施設でも30施設ほどでしか行われていない、オーバーナイト透析を当院でも始めることができました! 遠方からご通院頂いている患者様やオーバーナイト透析開始と同時に週18時間の長時間透析に移行され、透析患者様の生命予後とも大いに関連する高リン血症が改善し、リン吸着薬が中止出来た患者様もいらっしゃいます! お蔭様で現在多くのお問い合わせをいただいています。


オーバーナイト透析は、患者様のライフスタイルに合わせた透析です。
次回最後のブログでは、さらに生活に寄り添った透析治療である「在宅透析」についてお伝えします。




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腎内科クリニック世田谷ウェブサイト


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