2016.6.26

エクステリア

志水りえ

モダンリビング 編集長

「心地よい居場所」③ イタリア取材で見つけた緑と香りに包まれるテラス

今回は”植物がいかに心地よい居場所をつくるか”――それを実感したイタリアの庭&テラスをご紹介します。

先週、イタリアのミラノとそこから少し北にあるノベラートという場所へ取材に行きました。6月のイタリアはかなり久しぶり。滞在した各所でふと気づいたのは、緑に包まれる庭とテラスの心地よさです。
たとえば、モンデナポリオーネ通りの近くにあるブルガリホテル。ブルガリホテルのエントランスの横には緑に囲まれる大きなテラスがあり、そのフレッシュな空気と開放感の気持ちよさといったら!宿泊客だけでなく地元の人たちがそこに集まる理由は、ラグジュアリーなアウトドア家具があるというだけでなく緑の存在が大きいからなのです。

また、「垂直の森」と名付けられた高層住宅での試みも興味深いものがありました。ミラノの街の緑化計画の一貫として進行したプロジェクトなのですが、街中を車で走っていると忽然と現れる2棟の樹木のようなマンションは、建築と植栽を一体ととらえて設計。「高層ビルなのに森に住んでいるような感覚」で暮らすことができる100戸以上入る集合住宅なんです。植栽が建築の一部とみなされているので、水やりや剪定などをすべてビルの管理会社が行い、住み手は植栽のケアをしなくてもよいというシステム!日本でもこのようなシステムを取り入れることができると緑いっぱいのビルが増えるかもしれませんね。

そして、今回特に素晴らしいと思ったのは”ジャスミンのテラス”です。
取材に伺ったインテリアデザイナーの自邸のテラスには、日本でいう藤棚のようなジャスミン棚があり、その下で咲き誇る白い可憐な花や香りを楽しんで家族で食事をしたり、音楽を聴いたりしていました。ジャスミンに包まれるテラスはここだけでなくあちらこちらで発見!建築家&プロダクトデザイナーであるピエロ・リッソーニのオフィスでも、2階部分のアウトドアリビング&ダイニングの壁が一面ジャスミンで埋め尽くされ、テラスに一歩足を踏み出すととてもいい香りが漂っていたのです。

次に訪れたミラノから車で約40分のところにあるノベドラーテのホテルにもまたジャスミンの外壁が!しかも滞在した部屋のテラスは3方向がジャスミンの垣根に囲まれて、朝窓を開けると香しい空気で部屋が満たされました。
この時期、よく見るとミラノ近隣にはジャスミンがここかしこにあり、街を歩いていると美しいジャスミンの壁と共にいい香りに出会います。

緑と暮らす。季節により咲き誇る花を愛で、その香りも含めて楽しむ!
日本でなかなか実現できない「自然と過ごす時間」が身近にあることの豊かさを痛感しました。大きな庭をとることができなくても、ジャスミン棚をはじめ、ちょっとしたアウトドア空間をつくることはできますよね!
次号(8/6日発売)のモダンリビングは「庭部屋で過ごそう」特集。是非、ジャスミン棚を含めてテラスのつくり方の参考にしてみてください。

2016年6月7日発売
モダンリビング
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