2014.4.27

インテリア

Giorgio Busnelli

B&B Italia

「歴史と技術とデザイン」

B&B Italiaの歴史は、創業者である父のピエロ・ブスネリが、革新的な低反発ウレタンフォームを家具の製造に持ち込んだことから始まります。
目指したのは、伝統的な職人の手による家具製作ではなく、近代化された工場での安定した質の高いモノ作りです。

ピエロ・ブスネリ氏

家具製造業を営んでいたピエロ・ブスネリは、伝統的なやり方では多くの熟練工が必要なため、事業規模が拡大しても利益が上がらないことを問題視していました。その時、ロンドンの見本市でふたつの液体を型に入れてまぜると、ブクブクと膨らんでアヒルの玩具になる姿を偶然見かけ、発砲成形するモールドポリウレタン製法を家具に取り入れることを思いついたそうです。

ただ、この製造方法には相当な設備投資が必要となるため、ピエロ・ブスネリは友人の親戚であるチェザーレ・カッシーナに出資をもちかけました。
カッシーナ社を創業したチェザーレ・カッシーナは、最軽量の椅子スーパーレジェーラの成功や、照明のフロス社設立に尽力するなど、業界に絶大な影響力を誇る人物でした。

そんなチェザーレは、ピエロ・ブスネリの提案に乗り、1966年ピエロ・ブスネリは所持金全てを、チェザーレ・カッシーナは同じ金額を出資し、お互いの頭文字をとってC&B Italia と呼ばれた現在のB&B Italiaの前進となる会社が誕生したのです。

創業間もないC&B Italia には、マリオ・ベリーニ、トビア、スカルパなどのトップデザイナーが関わり、新しい製造法の魅力を存分に活かすデザインを発表しました。
ベリーニがデザインした「アマンダ」はモールドポリウレタンフォームを利用したぬいぐるみのようなボディにキャスターと大胆なプラスチックを組み合わせた斬新なシステムソファを。スカルパのソファ「コロナド」は2m近くもある巨大なものでした。人々はモールドポリウレタン製法だから可能となった新しいデザインに魅了され、アマンダとコロナドは大ヒット商品となりました。

スカルパ デザインの「コロナド」

C&B Italia とカッシーナは共同でリサーチセンターを設立し、さらなるデザインの向上を目指しました。また、技術面でもドイツのバイエル社との共同開発を行なった低温発砲モールドポリウレタン製法は、デザインの自由度をさらに拡げ、その製法で生まれたのがガエタノ・ペッシェの「UP」です。
独創的なフォルムは真空でポリウレタンを圧縮する技術を用いたからこそ可能になったもので、当初の仕様は平たいパッケージを破ると突然ふくよかな女性のボディを思わせる安楽椅子が登場する極めて画期的なものでした。

未来的な「UP」の広告。発表はアポロ11号が着陸した年。

また、硬さの異なるモールドポリウレタンだけでソファを作った、マリオ・ベリーニの「ル・バンボレ」も後のデザインを大きく変える画期的なプロダクトです。こと時、ソファだけでなく、上半身に何も身に付けないモデルが美しい胸を見せている広告も大きな話題となりました。一見無関係の写真のようだが何の支えがなくとも美しい形のソファが出来上がることを表し、そして多くのイタリア男は、モデルの胸のような柔らかいソファに座ってみたいと思ったのではないでしょうか。
この広告の写真を撮影したのはオリビエロ・トスカーニ氏。モデルはスーパー・モデルのケイト・モスの母君です。C&B Italia は、革新的な家具を世に送り出すだけではなく、次世代の文化を担う才能も発掘しています。

マリオ・ベリーニの「レ・バンボレ」
「レ・バンボレ」の広告。モデルはケイト・モスのお母様


B&B ITALIAホームページ

次回は「C&BからB&Bへ」というテーマで綴って参ります。

※掲載内容は、B&B italiaが発行した「B&B ITALIA TABLOID N0.2」をB&B italia様よりご提供頂き、掲載されているジョー・スズキさんのインタビュー記事から抜粋した内容になります。