アーネストコラム酒酒落落  Vibel(ヴィベル)代表   中島 洋子さん 第二回「子ども部屋の考え方」

「子ども部屋の考え方」


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日本における子ども部屋は、「勉強部屋」という意味合いが強く、就学時にはじめて子ども部屋をつくることが一般的ですが、欧米では、子ども部屋=大人と子どもが一緒の部屋で寝ないための空間ですので、基本的には子ども部屋は「寝室」で、0才から子どもは子ども部屋で寝るのが一般的です。

また、欧米では家族であってもプライバシーを重視するため、皆で何かをする「家族室」(リビング、ダイニングなど)と、個人的なことをする「個室」を非常に厳しく使い分けています。大人であっても、仕事の続きをダイニングテーブルですることはありませんし、最近流行の「リビング勉強」は、個人的なことを家族室で行う、非常に奇妙な現象に見えるそうです。東京に来た外国人の方から見ると「日本は家全体が子ども部屋になっている」、すなわち、子どもが家の中のどこで何をしていいか、どこで何をしてはいけないか、というルールが全くないまま、生活しているように見えるそうです。

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欧米の多くの国では、親は18歳までに子どもが自分の力で生きていくようにしなければなりませんから、子ども部屋は、子どもが一人で生活していくためのトレーニングの場所とも言えます。そのため、子ども部屋の管理も子どもが自分で行うことが一般的です。


ここからは、日本の子ども部屋研究の第一人者、北浦かほる先生(大阪市立大学名誉教授)の研究を引用させて、お話させていただきたいと思います。
「子ども部屋を誰が掃除しますか?」というアンケートを日本とアメリカで行ったところ、日本では、高校生になっても母親が子ども部屋を掃除していますが、アメリカでは小学校低学年から子どもが自分自身で掃除をしています。
(出典:「世界の子ども部屋 子どもの自立と空間の役割」北浦かほる著(井上書店)




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また、子ども部屋への母親の入室頻度を比較したところ、日本では「とても頻繁に入室」している割合が高いのですが、入室の目的が、世話やサービスをするためで、会話をするために入室するアメリカとは異なることがわかります。
(出典:「世界の子ども部屋 子どもの自立と空間の役割」北浦かほる著(井上書店)




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世話型のコミュニケーションを主としているため、親子のコミュニケーションが、子どもの年齢が高くなるほど低くなっており、年齢とともにコミュニケーションがUPするアメリカとは逆の現象になっていることがわかります。
(出典:「世界の子ども部屋 子どもの自立と空間の役割」北浦かほる著(井上書店)

このような欧米と日本との文化的な違いがある中で、「子ども部屋」に求められる共通の機能とはなんなのでしょうか。



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まず第一に挙げられる子ども部屋の機能は、「自律」です。英語ではAutonomy=他人にコントロールされることなく自分自身で決断ができる能力で、「自律」するには、自分自身を良く知ること、そして他者との違いを理解することの両方が必要で、その過程で大きな役割を果たすのが、物理環境のコントロールの経験で、下の表を見ても、子ども部屋の機能と自律の要因が非常に密接な関係であることがわかります。



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自律の過程でのキーワードは「一人になる経験」とも読み取れます。空間心理学の分野の研究によると、「一人」になることにより、深く考えたり、反省したり、想像力を無限に働かせたりと、「一人」になることによって得られる効果は数多くあるのですが、日本では、子どもだけではなく大人にも「一人」になる機会があまり与えられていないように思います。北浦かほる先生によれば、立派な子ども部屋がなくても、押入れの半分くらいの場所でもいいから、子どもが一人になりたいときに、自分で選択して一人になり、許可なしに誰も入ってこられない場所があることが、子どもの自律にとって大切であると主張されています。



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子ども部屋の機能で2番目に挙げられるのが、親子の信頼関係の構築です。

欧米の映画などを見ていると、小さい娘のベッドルームに父親が行って寝る前に話をしているシーンがよく見られますが、欧米では、子どもと一対一で向き合うための場所として、子ども部屋が使われています。兄弟姉妹がいると、お兄ちゃんのいる前では話せないこと、妹がいるまえでは話しづらいことなどがあると思いますが、子どもたちがいつも親のところに集まっている状態ですと、なかなか親子が一対一で向き合う時間はとれませんよね。限られた家庭空間の中で、一日5分でも10分でも、親子が一対一で向き合うことを、欧米ではとても大切にしており、小さい頃からのその積み重ねが、成長してからの親子のコミュニケーションの基礎を築くのです。



家を建てるとき、子どもの空間をどのようにしつらえるか、そこを舞台に、親子がどのようなコミュニケーションをとっていきたいのか、従来の日本的な考え方だけでなく、世界標準でどのような子ども部屋でどのような人間が育つのか、考えてみるのはいかがでしょうか。

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